
最初に断言しておきますが、遺言書は絶対に必要です。
遺言書を作成されていない方は、作成していただくことをおすすめいたします。
「自分はまだ若いから、遺言書とは関係ない」
「私たちの家族は仲がいいから、相続でもめたりしない」
「遺言書は書くのは手間。書かなくても問題ないでしょ」
そうお考えの方もいらっしゃると思いますが、全てのご家庭において、遺言書は作成すべきです。
日本ではまだ遺言書を重要視していませんが、これからさらに高齢化、核家族化がすすんだ世の中では、必要性が高くなります。
次項からは、遺言書の必要性を詳しく記述していきますので、皆さまも一緒に遺言書について考えていただければと思います。

目次
遺言書作成が必要な理由
遺言書はこれからの時代、必要不可欠になります。
これほど断言するには、理由があります。
なぜそう言えるのか。
理由を2つ述べていきます。
理由①相続人たちで、もめる
遺言書が無いと、相続人間でもめることがあります。
法律で決められている、法定の持分というものがありますが、相続人間で持分割合を変えることが可能です。
相続人間の経済状況により、うまく話しあいがまとまらずに裁判沙汰になることもちらほら…。
いったん、もめてしまうと、家族がバラバラになるなんてこともあります。
仲の良い家族だから相続についてもめることなんて…と思っておられる方もいらっしゃると思いますが、相続というものは、人を変えてしまうものなのです。
どれだけ仲が良くても、お金が絡むと自分の生活を考え、争いたくないのに争ってしまうことがあります。
大事な人と不要な争いを避けるためにも、遺言書は必要不可欠なものになっていきます。
理由②亡くなられた方の意思が反映される
遺言書があると、亡くなられた方のご意思が反映されやすくなります。
そのうえで、ご相続のお手続きができます。
被相続人さまは、亡くなられたあと、当然話すことも、後悔することもできません。
自分が亡くなったあと、意思を反映させたいのであれば、遺言書は作成しておく必要があります。
相続財産は、亡くなられた方の財産です。
亡くなられた方が、ご自身の財産の行く末を決めるべきなので、遺言書は絶対作成しておくことをおすすめします。
ご相続人の持分割合を決めてあげるのか、それとも第三者の方に渡したいのか、それは亡くなられたご本人様が決めることだと思います。
ただし、法律で遺留分という制度が決められています。
亡くなられた方からみて、配偶者・子に対しては、絶対に相続でもらえる財産割合があります。
それは除外できないので、ご留意のうえ遺言書の作成を行うと良いでしょう。

遺言書がなく、もめた具体的事例 ~あのとき、作っておけば良かったと思わないために
では実際に起こった、遺言書が無くて、もめた具体的事例をあげていきたいと思います。
銀行さまからのご紹介で、ご相続のお手続きをさせていただいたお客さまでした。
- 【基本情報】
- ・お亡くなりになられた方:お父様87歳
- ・お母様:既に亡くなられている
- ・お子様:長女65歳・次女60歳
- ・お子様お2人が今回のご相続人様
- ・お2人とも定年退職をされており、パートで働いている
銀行のご担当者さまからのお話では、お子様2人は相当仲が悪いということでした。
その情報を基に、それぞれにお電話をおかけし、お伺いに行ったところ、相続財産の持分割合でもめているということでした。
今回の相続財産であれば、それぞれ持分2分の1ずつを受け取る権利があるのですが、次女さまの方がもっと欲しいということでした。
次女さまの言い分は、
「姉は父からたくさん贈与を受けているのよ」
といったものでした。
結論から言いますと、長女さまが持分3分の1、次女さまが持分3分の2になりました。
お手続きがなかなか進まず、長女さまの持分が下がることに譲歩したという感じです。
60歳を超えると定年退職を迎え、年金の受け取りは、原則65歳からです。
入ってくる収入が大幅に減る方が多くなります。
自営業ではなく勤め人の方であれば、なおさら収入が減ることが多いかと思います。
また、介護の問題もあります。
ご実家や、ご両親さまが入居されている施設から遠いお子様もいらっしゃいます。
相続人さまのなかには、
「私の方がずっと介護して、持ち出しもあるんだから相続財産多めにもらわないと納得がいかない」
という方もいらっしゃると思います。
相続人様が60歳を超えているというのは、ご相続のお手続きをするうえで、1つの基準かなとも思います。
上記の事例でも、昔は姉妹仲が凄くよかったというお話でした。

遺言書は早期に作成した方が◎ ~後悔しないよう早期の行動を!
具体例をあげさせてもらいましたが、遺言書は家族を守ります。
今までの遺言書に関するお話に触れて、どのように感じましたか?
人によって境遇は違い、感じ方も人それぞれと思います。
ただ、死は万人に、突然やってきます。
「遺言書が必要だな」と思われた時から、遺言書作成に取りかかってください。
「遺言書って何歳までに作ったらいいんだろう?」
とお悩みの方もいらっしゃることでしょう。
遺言書は、何歳までに作らなければいけないという期限はありません。
「遺言書を作っておいた方がいいかな」
と思われたタイミングが、遺言書のつくり時です。
なので、いつでも遺言書は作成しておいて問題はありません。
そして、早期に遺言書作成しておいた方が尚よし、です。
さらに、早期遺言書作成をおすすめする理由を、次項で記述しますので、ご参考にしていただければと思います。

早期遺言書作成の理由 ~人はいつ亡くなるかわからないから
人は、いつか必ず亡くなります。
そして、いつ亡くなるかもわかりません。
明日かもしれないし、一年先、十年後かもしれない。
死期は、人に予測できません。
突然やってきます。
当たり前だと思われるかもしれませんが、「オギャー」と産まれた瞬間から、既に人は亡くなることが決まっています。
そして、死期が突然やってくるのです。
自分がいつ死ぬか、知っている方はいないと思います。
なので、今日にでも遺言書を作成しておいた方がいいのです。
なぜかというと、遺言書があると家族が揉めるケースがかなり減るからです。
重複の記述になりますが、相続財産は、亡くなられた方の財産です。
亡くなられた方が、相続財産の分配を決めるべきなのです。
絶対ではありませんが、相続人は、亡くなられた方の意思を尊重することが多いと思います。
ですから、道筋を決めておいてあげると
「お父さんやお母さんが決めたことだから・・・」
と、納得するケースが多いのです。

遺言書を早期に作っておいて良かった具体例
この事例は、お父さまが子どものためを思って、相談に来られました。
お父さまは、70歳。
奥さまは、既にお亡くなりになられていて、お子さまが3人。
構成は、長男、長女、次女でした。
お父さまのお話では、
長男が、お金に少しがめついところがあり、絶対もめると思うから遺言書を作成しておきたい、とのことでした。
自筆証書遺言と公正証書遺言の説明をさせていただいて、後々の手間がかからない公正証書遺言を作成いたしました。
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それから5年経った後、次女さまからご連絡があり、お父さまがお亡くなりになったことを知りました。
がんでお亡くなりになったとのことでしたが、
「あの時、お父さんが遺言書を作っておいてくれて良かった。」
とお話しされていました。
お話を聞くと、ご長男が財産の分配で
「長男なんだから全部取得する権利がある。」
と言ってきたそうです。
しかし、長女さま、次女さまはお父様から遺言書を作成したことを聞いていたそうです。
長女さまと次女さまは、
「お父さんの意思を尊重しないなんて、親不孝じゃない?」
とご長男に諭したそうです。
ご長男は、その言葉を聞いて、思うとことがあったのでしょう。
お2人に謝罪をしたと伺いました。
繰り返しますが、相続財産は、お亡くなりになられた方の財産です。
財産の分配に限らず、自分が亡くなった後のことは、生きている間にしか、決めることができません。
ぜひ、この事例を参考にして、遺言書作成の検討をしてください。
遺言書を早期作成せずに起こった具体例
この事例は、亡くなられた方の長女さまからのご相談でした。
お父さまがもう亡くなりそうなので、至急、遺言書を作成したいとおっしゃっていました。
脳梗塞でお父さまが倒れて入院してしまい、長女さまから急いでお電話を頂きました。
相続関係は先程と同じで、お母様はお亡くなりになられていて、長男、長女、次女の3人が相続人です。
ご長男が商売をされているのですが、あまり上手くいっておらず、
「お父さんの財産をあてにしている。」
とお話しされていました。
お父さまはひとり暮らしだったため、倒れた際、発見が遅くなったそうです。
たまたま次女さまが電話をかけても全然出ないので、心配しご実家に駆けつけたところ、台所で倒れていた、ということです。
遺言書を作成するためには、ご本人さまの意思確認が必要です。
それは、自筆証書遺言でも公正証書遺言でも同じです。
お父さまはなんとか延命はできたのですが、倒れてから発見までの時間が遅かったため、後遺症が残ってしまい、認知症と同じ症状になってしまいました。
つまり、意思確認ができない状態だったため、遺言書を作成することができませんでした。
それから3年ほど経過し、長女さまからお電話がありました。
「お父さんが亡くなって、財産分与で長男と揉めている。」
長女さまの連絡後、弁護士の先生をご紹介して問題解決になりましたが、家族はバラバラになりました。
タラレバの話になりますが、早期に遺言書を作成しておいた結果、うまくまとまったご家族ケースを思い出し、遺言書があれば変わったのかなと思いました。

後悔しないよう、早期の行動を
遺言書について、具体的な事例を記述してきましたが、皆さまは、どう思われましたか?
遺言書の重要性がおわかりいただけましたでしょうか。
遺言書を作成していなかった事例のように、家族ともめたくはありませんよね?
そうならないためにも、弊社で作成のサポートをさせてください。
自分が遺産を残す立場であっても、逆に遺産を残される立場であっても、遺言書の大切さを理解してほしいです。
そして、家族の在り方が変わらないように、早めの対策を心がけてほしいとも思っています。

蒲生相続相談センターのサービス
蒲生相続相談センターでは「遺言残したいプラン」を提供しています。
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がもう相続相談センター
代表本上(ほんじょう)。
大阪司法書士会、東支部所属。相続相談、不動産登記、遺言書作成、税金周りの専門家。相談や行動を後回しにし、後悔・損をしてしまう人を減らすため、日々奮闘中。NSC(吉本)卒業の元お笑い芸人。