みなさん、こんにちは。
蒲生相続相談センター 代表の本上(ほんじょう)です。
今回の記事では、後見人についてお話させていだきます。
後見人という言葉は、知っているけれど、どういったものなのか知らない方は多いと思います。
法定後見人についてお話しさせていただいた記事がありますので、また、1度ご閲覧してみてください。
こちらです!!
今回は、法定後見人(代理人)を選任して解決した事例を挙げさせていただきます。
結論:法定後見人は認知症になった方の代理人
親が認知症になってしまいました。
銀行口座の解約はできますか?
認知症になってしまった方は、判断能力がなく、ご自身のことでさえ、わからなくなっている事が多いです。
その状況では、日常生活に関するものを購入する場合は問題ありませんが、不動産を売却する契約や銀行の解約や口座開設の行為を行うことは出来ません。
なぜなら、契約行為はご本人様確認と意思確認が必要になります。
ご自身のことがわからなくなっている状況では、お手続きが出来ない事になります。
なので、裁判所でご本人様に代わる代理人を選んでもらい、その代理人が契約や財産管理を行います。
その代理人のことを法定後見人と言います。
では、お手続きの流れを説明させていただきます。
お手続きの流れ
今から、法定代理人のお手続きの流れを①~⑧の流れでご説明させていただきます。
①申立人
申立てが出来る人は、
・本人
・配偶者
・四親等以内の親族
・市区町村長
です。
四親等以内の親族というと、子、孫はもちろん、叔父や叔母、いとこなど、基本的に交流があるような親戚はすべて含まれます。
②申立場所
また、申立てを行う家庭裁判所は本人の住所地を管轄する家庭裁判所で、申立人の住所地ではありませんので、ご注意ください。
③医師の診断書取得
この診断書は、特別な精神科医などに依頼する必要はなく、主治医等のもので結構です。
主治医がいない場合は、内科や精神科のある病院に相談し、作成してもらうようにしましょう。
④必要書類の取集
一般的に上記の書類が必要になります。
裁判所によって、必要書類が変わる場合もございますので、要確認事項ではあると思います。
⑤家庭裁判所に書類提出
家庭裁判所へ、作成した申立書類一式と必要書類を合わせて提出します。
この提出をもって、家庭裁判所へ申立てを行ったということになります。
提出は、管轄の家庭裁判所へ直接持参しても良いですし、郵送でも構いません。
申立書類一式は、後日行われる面接時に受け答えするためにコピーを手元に残しておくと、役立ちます。
申立てを受け付けた後、審理が始まります。
審理とは、裁判官による申立書類の審査、過不足や不備の確認を行った後、本人の状況や取り巻く環境を総合的に考慮することをいいます。
裁判所の繁忙や審理内容にもよりますが、審理が始まってから終局するまでの期間は、おおよそ2カ月位かかるイメージです。
⑥申立人・代理人候補者の面談
事前に予約した面接日時に、申立てを行った家庭裁判所にて面接が行われます。
裁判所が指定した参与員(非常勤の裁判所職員)によって、申立人や代理人候補者から、申立てに至る事情や、本人の判断能力、生活状況、財産状況、親族等の意向などが聴取されます。
面接の所要時間は、おおよそ1~2時間です。
当日は、
・本人確認書類(運転免許証など)
・申立書に押印した印鑑
・預金通帳
など財産を証明する書類の原本などを持参します。
また、面接内容に受け答えしやすいように、申立書類一式のコピーを持参していきましょう。
⑦法定代理人の審判・代理人の登記
審判とは、裁判官が申立書類や調査結果に基づき、判断を決定する手続きのことです。
法定代理人の申立てでは、法定代理人開始の審判と同時に、法定代理人の選任も行います。
この法定代理人は、申立て時に候補としてあげた 法定代理人候補者が選ばれるとは限りません。
また、場合によっては法定代理人を監督する監督人も同時に選任されることもあります。
審判の内容を記した審判書が、選任された 法定代理人に送付され、2週間以内に不服申立てがなければ、 法定代理人 の審判の効力が確定となります。
申立人や利害関係人は、審判の内容に不服がある場合、この審判が確定する前に限って、即時抗告という不服申立てを行うことができます。
審判が確定したら、裁判所から法務局へ 法定代理人登記の依頼が行われます。
法定代理人登記とは、 法定代理人の氏名や 法定代理人の権限などが記載されたものです。
裁判所が依頼してから約2週間で完了し、 法定代理人へ登記番号が通知されます。
法定代理人は、本人の財産調査、預金口座の解約など、様々な手続きの際に、自身が法定代理人の権限を証明する必要があります。
この証明のために、法務局で登記事項証明書を取得する必要がありますので、通知された登記番号を元に申請しましょう。
なお、申請は最寄りの法務局の本局へ行います。
支局や出張所では取得できませんので、ご注意ください。
⑧代理人としての活動開始
法定代理人となったら、まず本人の財産目録を作成する必要があります。
財産目録とは、本人の財産を調査して一覧表にしたものです。
この財産目録は、審判の確定から1カ月以内に裁判所に提出しなければなりません。
法定代理人の仕事は、財産目録の作成だけではなく、金融機関の手続き、役場への届出など多岐に渡ります。
⑨不動産売却には裁判所の許可が必要
法定代理人が、法定代理開始の審判を受けている高齢者に代わって、その居住の用に供する建物又はその敷地を売却するには、家庭裁判所の許可を得なければなりません。
したがって、法定代理人はご本人様の不動産について、自らの判断によって売却できるのが原則です。
具体例
今回のお客様は、ご本人様が認知症になられて、既に施設に入居されていて、その生活費用のために、実家を売却したいというご相談でお越しになられました。
今まで、ご家族の方が身上看護・財産管理をしていたみたいですが、ご本人様の自宅を売却したいということで、公にお手続きするのであれば、法定代理人の選任が必要ということで弊社にご相談いただきました。
上記にご説明させていただいた順序でお手続きを進めていき、結局、ご依頼・ご相談いただいてから、このコロナの時期もあり4ヶ月の期間がかかりました。
コロナ前であれば、その半分の2ヶ月位で法定代理人の登記まで終了していたのですが、僕自身もこんなに期間がかかった事がないのでとてもびっくりしました。
別件ですが、遺言書の開封で家庭裁判所にお手続きを申立てたのですが、通常1ヶ月位で終わるお手続きが、3ヶ月位期間がかかりました。
「両親が認知症になっているけど、法定後見人がいなくても不自由ないよ!」
確かに、普段、ご家族の方が、ご本人様の身上看護や財産管理をされていて、ご本人様からキャッシュカードを預かっていて、日常品を購入することは多々あると思います。
それが悪いことではありません。
それで、生活が上手くいっているのであれば問題ありません。
ただし、公にご本人様の代わりに何か行動するには、その代理人になる根拠が必要なのです。
それが、法定後見人という資格だということになります。
再度結論:法定後見人が必要な場面は必ずある
普段、法定後見人を選任しなくても上手く生活出来ているケースも多いです。
しかし、第三者に不動産を売却するなど、公にお手続きをする際は、必ず必要になります。
必要にかられてお手続きをしても、法定代理人を選任するにはとても時間がかかります。
法定後見人が必要な場面が起こり得そうな場合は、早めの法定代理人選任をおすすめ致します。
蒲生相続相談センターでは、法定代理人選任のサポートをさせていただいています。
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代理人・家族を信じて託すプラン(後見・家族信託)
代理人・家族を信じて託すプラン は、
「ご家族が認知症になってしまった・・」
「まだ認知症になっていないけれど高齢になってきたから不安だ・・」
というお客様をサポートするプランです。
相続では、事前対策がすごく重要になります。
後で動いて損をしてしまった方も多く見てきました。
損をしたくない方は、事前に対策することをお勧めします。