
「相続登記も終えたし、家族でも話し合って売ると決めた。それなのに、なぜか全然売れない……」
そんな悩みを抱える方が、いま本当に増えています。
実は、相続した不動産が売れない理由は“手続き”ではなく“市場と条件”にあるのです。
登記や合意が終わっていても、買い手が見つからない家には共通の特徴があります。
この記事では、登記も完了し、家族の合意も済んでいるのに売れない人のために、
代表的な5つの原因と、それぞれの具体的な対策を解説します。

1. 相続した不動産が売れない主な原因

登記も済み、家族も合意しているのに売れない場合、多くは次の5つの原因に分けられます。
【原因①】需要が少ないエリア・市場である
家の状態に問題がなくても、そもそも「買う人が少ない地域」では売れません。
地方や郊外では、人口減少や高齢化で購入希望者が減っており、
駅から遠い、坂が多い、車がないと不便な立地などは、特に敬遠されやすい傾向です。
また、周辺に空き家が多い地域では、似たような売物件が飽和しており、
価格競争で埋もれてしまうこともあります。
対策
- 近隣の成約事例や相場を確認し、価格が高すぎないかを見直す
- 掲載サイトや広告媒体を増やし、露出を広げる
- 売却にこだわらず、賃貸・リフォーム再販など「活用型の選択肢」も検討する
【原因②】価格設定が市場より高すぎる
売れない理由の多くは「価格のズレ」です。
「親の思い出が詰まっているから安くしたくない」と考えるのは当然ですが、
買主は“感情”ではなく“市場相場”で判断します。
査定額を鵜呑みにして高めに設定すると、
閲覧数は伸びても問い合わせが来ない、という状態になります。
対策
- 複数の不動産会社に査定を依頼し、平均値で価格を見直す
- 3か月ほど動きがない場合は、10〜15%の値下げを検討
- 「更地渡し」や「リフォーム費込み」など条件を変えて再掲載する
価格調整は心理的に難しい決断ですが、
“適正価格に戻す”ことが一番の近道です。
【原因③】建物や土地の状態に問題がある
老朽化や破損がある家は、修繕費が想定以上にかかるため、買主が敬遠します。
また、室内が物であふれていたり、カビ・シロアリ・湿気などの問題があると、
第一印象で候補から外されてしまいます。
土地の場合も、
・地盤が弱い
・旗竿地(細い通路で道路に接している土地)
・前面道路が狭く車が入れない
などは「使いづらい土地」として売れ残りがちです。
対策
- 建物の簡易インスペクション(住宅診断)を実施して状態を明示
- 室内清掃・残置物撤去・最低限の修繕を行う
- 「古家付き土地」としてではなく、「更地渡し」で販売する
- 測量や地盤調査を行い、安心感を示す
「情報が見えない不動産」は買われにくい。
状態をオープンにするだけで、売れ行きが変わることもあります。
【原因④】販売を任せている不動産会社の戦略不足
売れない原因の中でも見落とされがちなのが、「不動産会社の販売力」です。
- ポータルサイトに掲載しているだけ
- 写真が暗い・説明文が雑
- 問い合わせ対応が遅い
- 売却報告がほとんど来ない
こうした場合、物件が市場で“埋もれて”しまいます。
特に相続物件は所有者が遠方にいることも多く、「任せっぱなし」になりやすいのが現実です。
対策
- 売却活動の報告を定期的に受ける(週1回・月1回など)
- 掲載写真や紹介文を見直すよう依頼する
- 他社への切り替え(媒介契約の変更)を検討する
- 相続不動産の実績がある会社を選ぶ
販売戦略が弱い会社では、良い物件でも売れません。
「営業力」も大切な判断軸のひとつです。
【原因⑤】物件の印象・情報発信が悪い
いまの買主は、最初にネットで物件を見ます。
つまり、「写真と文章の印象」が命です。
暗い室内写真、散らかった部屋、古いカーテンや畳…。
それだけで「古そう」「手間がかかりそう」と思われ、クリックされません。
対策
- 晴れた日中に撮影した明るい写真に変更
- 荷物を片づけ、広く見える構図にする
- プロカメラマンの撮影やホームステージング(演出)を利用
- 「リフォーム後の完成イメージ」をCGで提示
ネット上では、“第一印象で決まる”といっても過言ではありません。
見せ方を変えるだけで反応が一変することもあります。
2. 放置するとどうなる?売れない相続不動産のリスク

「そのうち売れるだろう」と放置してしまうと、
維持費やリスクが年々大きくなります。
- 固定資産税や管理費が毎年発生
- 老朽化による倒壊・雨漏りリスク
- 不法侵入・草木繁茂による近隣トラブル
- 市場価値の下落(特に築30年以上は1年ごとに評価が落ちる)
さらに、放置期間が長くなると、
建物の劣化が進み「再建築不可」扱いになるケースもあります。
3. 売れない相続不動産の具体的な対策

(1)価格・販売条件を見直す
複数社の査定を比較し、価格を現実的な水準に。
「更地」「リフォーム済み」「家具付き」など、条件変更も効果的です。
(2)物件を整える
清掃・片付け・修繕・測量などを実施。
「現地を見て印象が良い」と思ってもらうことが何より重要です。
(3)販売会社を再選定する
相続物件に強い不動産会社を選び直す。
紹介実績や口コミもチェックしましょう。
(4)売却以外の活用を検討する
貸す・リフォームして住む・一部を駐車場にするなど、
活用法を変えることで収益化できる場合もあります。
4. がもう相続相談センターのサポート

がもう相続相談センターでは、
司法書士を中心に提携の不動産会社と連携し、
相続不動産のお悩み解決も行っています。
- 相続登記
- 不動産会社紹介
ご相談は何度でも無料です。
「もう無理かもしれない」と思う前に、ぜひ一度ご相談ください。
5. まとめ
登記も終わり、家族の合意もあるのに不動産が売れないときは、
次の5つのどれかに原因があります。
- 需要が少ないエリア
- 価格が相場より高い
- 建物や土地の状態が悪い
- 不動産会社の販売力不足
- 写真や情報発信の印象が悪い
これらを一つずつ見直すことで、
“止まっていた売却”が動き出すケースは少なくありません。
売れないまま悩むより、まずは「何が原因か」を整理すること。
そして、必要に応じて専門家に相談しながら進めることが、
最短の解決策になります。