相続不動産の固定資産税は誰が払う?死亡後の名義変更と手続きを解説

不動産を所有していた家族の死亡後、固定資産税の支払いや名義変更をどうすればよいか、不安に感じていませんか。
この記事を読めば、固定資産税の暫定的な納税方法と、法的に所有権を確定させる名義変更(相続登記)の期限・手順を理解できます。
そして、「今すぐすべき自治体への連絡」と「中長期的に進めるべき登記手続き」の区別がつき、何をすべきかが明確になります。

目次

亡くなった人の固定資産税は、誰がいつから支払う義務を負うのですか?

亡くなった人の固定資産税は、誰がいつから支払う義務を負うのですか?

不動産の所有者が死亡した場合、その固定資産税の納税義務は法的に相続人が引き継ぎます。
具体的に誰がどのように支払うかは、遺産の分割協議が完了しているかどうかで変わります。
いずれにせよ、納税義務がなくなることはありません。

遺産分割協議が完了するまでは相続人全員で連帯して納税する

遺言書がなく、誰が不動産を相続するかが決まっていない間は、法定相続人全員が「連帯納税義務者」となります。
これは、各相続人が自身の法定相続分に応じて税金を負担し、全員で納税義務を負うということです。
例えば、納税通知書に記載された税額全額について、相続人の誰か一人が支払っても、全員分の納税義務が果たされたことになります。

誰が代表して支払うか、どのように分担するかは、相続人間で話し合って決める必要があります。

納税通知書は「相続人代表者指定届」を提出した代表者に届く

不動産所有者の死亡後、市区町村役場から「相続人代表者指定届」という書類が送られてくることがあります。
これは、相続人の中から納税通知書を受け取り、支払いを代表して行う人を一人決めて届け出るためのものです。

この届出を提出すると、翌年度からその代表者宛に納税通知書が送付されるようになります。
ただし、これはあくまで税務上の手続きであり、他の相続人の納税義務が免除されるわけではありません。

1月1日(賦課期日)時点の所有者にその年度の納税義務がある

固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日)時点での登記簿上の所有者に対して、その年度分(4月1日から翌年3月31日まで)が課税されます。
そのため、年の途中で所有者が亡くなった場合でも、その年度の納税義務は亡くなった方が負うことになり、それを相続人が承継します。
もし年内に遺産分割協議と相続登記を完了させれば、翌年の1月1日時点では新しい所有者の名義となるため、翌年度からはその新所有者宛に納税通知書が届きます。
空き家の固定資産税については「空き家所有のデメリット大全。固定資産税・火災保険・リスク一覧」で詳しく紹介しています。

固定資産税のための手続きと、不動産の名義変更(相続登記)はどう違うのですか?

固定資産税のための手続きと、不動産の名義変更(相続登記)はどう違うのですか?

固定資産税の納税義務者が誰になるかを理解した上で、次に知るべきは市区町村への手続きと法務局への手続きの違いです。
この二つは管轄も目的も全く異なるものであり、混同しないことが重要です。

特に不動産の所有権に関わる相続登記は、法的な義務となっています。
不動産の名義変更を放置することの危険性については「不動産の名義変更を放置している方へ。今すぐ相続登記すべき理由」で詳しく紹介しています。

市役所への「相続人代表者指定届」はあくまで納税のための仮手続き

市区町村役場へ提出する「相続人代表者指定届」は、固定資産税の納税をスムーズに行うための便宜的な手続きに過ぎません。
この届出によって納税通知書の送付先は決まりますが、不動産の所有権が代表者に移るわけではありません。

したがって、この手続きだけでは法的な名義変更(相続)が完了したことにはならず、不動産を売却したり、担保に入れたりすることは不可能です。

法務局への「相続登記」が本当の所有者を確定させる法的手続き

一方、不動産の名義変更を法的に確定させる手続きが「相続登記」です。
これは、不動産の所在地を管轄する法務局に対して、所有者が亡くなったこと、そして誰が新たに所有者になったかを申請し、登記簿の情報を書き換えるものです。
この相続登記を完了させて初めて、新しい所有者はその不動産の所有権を第三者に対して主張できるようになり、売却などの処分も可能になります。

【2024年4月から義務化】相続登記をしないと10万円以下の過料の可能性も

これまで任意とされてきた相続登記ですが、2024年4月1日から義務化されました。
この法改正により、相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に、正当な理由なく相続登記の申請をしない場合、10万円以下の過料(行政罰)が科される可能性があります。

固定資産税を支払っているからといって、名義変更をしなくてよいというわけではなくなったため、注意が必要です。
相続登記の義務化については「相続登記の義務化とは?過去の相続の期限や罰則をわかりやすく解説」で詳しく紹介しています。

相続した不動産の名義変更(相続登記)は、具体的にどう進めればよいですか?

相続した不動産の名義変更(相続登記)は、具体的にどう進めればよいですか?

相続登記が法的に重要かつ義務化された手続きであることを踏まえ、具体的な進め方を解説します。
不動産の名義変更は、大きく分けて4つのステップで進行します。
順を追って着実に進めることが大切です。
相続登記の始め方については「【相続登記】何から始めればいい?相続が起きた直後に迷う人が…」で詳しく紹介しています。

STEP1:遺言書の有無を確認し、相続人を確定させる

まず最初に行うべきは、亡くなった方が生前に遺言書を作成していなかったかを確認することです。
遺言書がある場合は、原則としてその内容に従って遺産が分割されます。
遺言書がない場合は、法律で定められた法定相続人が誰であるかを確定させる必要があります。

そのために、亡くなった方の出生から死亡までの連続した戸籍謄本(除籍謄本、改製原戸籍謄本)や、相続人全員の現在の戸籍謄本などを収集します。

STEP2:遺産分割協議で不動産を誰が相続するか決める

遺言書がない、または遺言書で指定されていない不動産がある場合は、相続人全員で話し合い(遺産分割協議)、誰がその不動産を相続するかを決定します。
協議がまとまったら、その内容を証明するために「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が署名・実印で押印します。
この遺産分割協議書は、後の相続登記申請において重要な添付書類となります。

STEP3:必要書類(戸籍謄本や遺産分割協議書など)を収集する

相続登記の申請には、多くの公的な証明書類が必要です。
主に、被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本一式、相続人全員の戸籍謄本、不動産を相続する人の住民票、相続人全員の印鑑証明書、遺産分割協議書、そして対象不動産の固定資産評価証明書などが挙げられます。

これらの書類を漏れなく収集することが、スムーズな申請につながります。

STEP4:登記申請書を作成し、法務局へ提出する

必要書類がすべて揃ったら、登記申請書を作成します。
申請書の様式は法務局のウェブサイトからダウンロードできます。
作成した申請書と収集した添付書類一式を、不動産の所在地を管轄する法務局に提出します。

提出方法は、法務局の窓口へ持参するほか、郵送やオンラインでの申請も可能です。
申請後、不備がなければ1〜2週間程度で登記が完了し、登記識別情報通知書が発行されます。

固定資産税や名義変更でよくある疑問や特殊なケースはどう対応すればよいですか?

相続登記の基本的な流れは理解できても、実際の場面では費用面での疑問や、特殊な不動産のケースなど、さまざまな問題に直面することがあります。
ここでは、そうしたよくある疑問や個別ケースへの対応方法について解説します。

名義変更にかかる費用(登録免許税)はいくらくらいですか?

相続登記を申請する際には、登録免許税という税金を納める必要があります。
この税額は、不動産の固定資産税評価額に税率をかけて計算されます。
相続の場合の税率は0.4%(1000分の4)です。

例えば、固定資産税評価額が2,000万円の土地であれば、登録免許税は8万円となります。
この他に、戸籍謄本などの書類取得費用や、手続きを司法書士に依頼した場合はその報酬が別途発生します。

未登記の建物(離れや蔵など)を相続した場合はどうなりますか?

法務局に登記されていない家や建物(古い離れや蔵など)も、固定資産税の課税対象であり、相続財産に含まれます。
未登記の建物は法務局で相続登記ができないため、代わりにその建物が所在する市区町村役場の税務課などに対して「家屋補充課税台帳登録事項変更届」といった書類を提出し、固定資産税台帳上の所有者名義を変更する手続きを行います。

これにより、税務上の所有者を変更できます。

納税通知書が亡くなった人の名前で届き続けるのはなぜですか?

所有者の死亡後も、納税通知書が亡くなった人の名前で届き続ける主な原因は、法務局での相続登記が完了していないためです。
市区町村は、法務局の登記情報を基にして固定資産税の納税義務者を把握し、通知書を送付します。
相続人代表者指定届を提出すれば送付先は変更されますが、宛名自体は登記名義人が原則です。

登記簿上の所有者情報を更新しない限り、この状態は解消されません。

相続時の固定資産税と名義変更に関するよくある質問

ここでは、相続における固定資産税の支払いや名義変更に関して、特に多く寄せられる質問に簡潔にお答えします。

亡くなった親名義の不動産の固定資産税は、相続人のうち誰が支払うべきですか?

遺産分割協議で相続する人が決まるまでは、法定相続人全員が連帯して支払う義務を負います。
協議が成立した後は、その不動産を相続した人が納税義務者となります。
役所に「相続人代表者指定届」を出せば通知書はその代表者に届きますが、他の相続人の支払い義務がなくなるわけではありません。
相続における空き家問題については「空き家を相続したらどうする?固定資産税・活用・売却までの流れ」で詳しく紹介しています。

市役所から固定資産税の相続人代表者届が届きましたが、これを出せば名義変更は完了しますか?

いいえ、完了しません。
その届出は、あくまで固定資産税の納税通知書を受け取る代表者を決めるための、市区町村に対する税務上の仮手続きです。
不動産の所有権を法的に変更するには、別途、管轄の法務局で「相続登記」の手続きを完了させる必要があります。

この二つは全く別の手続きです。

相続した不動産の名義変更をしないまま固定資産税だけ払い続けると、何か罰則はありますか?

はい、罰則の対象となる可能性があります。
2024年4月1日から相続登記が義務化されたため、正当な理由なく不動産の相続を知った日から3年以内に登記申請を怠ると、10万円以下の過料が科されることがあります。
固定資産税を支払っていても登記の義務は免除されないため、速やかな手続きが求められます。
相続登記の義務化と過去の相続については「過去の相続も対象に!相続登記義務化で今すぐ確認すべきこと」で詳しく紹介しています。

まとめ

不動産を相続した際の固定資産税は、まず相続人全員で連帯して納税する義務が生じます。
市区町村への「相続人代表者指定届」は納税を円滑にするための仮手続きであり、法的な所有権を確定させる「相続登記」とは全くの別物です。
2024年4月からは相続登記が義務化され、怠ると過料のリスクも伴います。

手続きは複雑で必要書類も多岐にわたるため、不明な点があれば速やかに専門家へ相談することが賢明です。
相続した不動産の名義変更をしない危険性については「相続した不動産の名義がそのままは危険!義務化の罰則と放置リスク」で詳しく紹介しています。

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