株式相続の名義変更手続きと必要書類|売却時の税金や注意点も解説

親族が亡くなり、遺産に株式が含まれていることが分かると、預貯金とは異なる手続きに戸惑うかもしれません。
特に有価証券の相続は、証券口座の開設や必要書類の多さから、手続きが複雑に感じられます。
この記事を読めば、株式の名義変更に必要な書類を揃え、証券会社に対して株式の移管(名義変更)の手続きを迷わず開始できる状態になります。

相続した株式の売却や、それに伴う税金についても解説します。

目次

なぜ株式相続は預貯金より手続きが複雑なのか?3つのボトルネックを解説

なぜ株式相続は預貯金より手続きが複雑なのか?3つのボトルネックを解説

株式の相続手続きが預貯金と比べて複雑とされるのには、主に3つの理由があります。
第一に、株式を受け取る相続人自身が証券口座を開設する必要がある点です。
第二に、株式の価値が日々変動するため、遺産分割協議の際に評価額の基準をどこに置くかで揉める可能性があること。

第三に、証券会社とのやり取りで「移管」や「名義書換」といった専門用語が多く、手続きの全体像を把握しにくい点が挙げられます。

【図解】株式の名義変更は5ステップで完了!手続きの全体像を把握しよう

【図解】株式の名義変更は5ステップで完了!手続きの全体像を把握しよう

株式相続の名義変更は、全体の流れを把握することから始めます。
手続きは大きく分けて以下の5ステップで進みます。
この手順を理解しておけば、次に何をすべきか迷うことなく、スムーズに手続きを進めることが可能です。

1.被相続人が利用していた証券会社へ連絡
2.遺産分割協議で株式の相続人を決定
3.名義変更に必要な書類を収集
4.相続人名義の証券口座を開設
5.証券会社に書類を提出し、株式の移管を依頼
まずは、故人がどの証券会社を利用していたかを確認する最初のステップから見ていきましょう。

ステップ1:被相続人が利用していた証券会社へ連絡し、相続発生を伝える

まず、亡くなった人の株式を管理している証券会社を特定し、相続が発生した旨を電話で連絡します。
連絡する際は、口座名義人が亡くなったこと、自分が相続人であることを伝えてください。
証券会社は口座を凍結し、その後の相続手続きに必要な書類一式を送付してくれます。

この最初の連絡が、株式相続手続きの正式なスタートとなります。
手続きを始める前に、今後の流れや必要書類について不明点があれば、この時点で質問しておくと良いでしょう。

確認事項:故人の取引明細書や郵便物から証券会社を特定する

亡くなった人の取引証券会社がわからない場合、まずは故人宛ての郵便物を探します。
「取引報告書」や「取引残高報告書」といった書類が証券会社から定期的に郵送されているはずです。
また、書斎や机の引き出しなどに保管されているファイルや、パソコンのメール履歴、ブラウザのブックマークなども手がかりになります。

どうしても見つからない場合は、証券保管振替機構(ほふり)に対して、手数料を支払うことで登録済加入者情報の開示請求が可能です。

ステップ2:遺産分割協議を開き、誰が株式を相続するかを決定する

次に、相続人全員で遺産分割協議を行い、誰がどの株式を相続するのかを決めます。
株式は預貯金のように簡単に分割できないため、「A銘柄は長男、B銘柄は次男」のように現物で分けるか、代表者が一旦相続して売却し、現金化した後に分ける方法(換価分割)などがあります。
全員の合意が得られたら、その内容を「遺産分割協議書」として書面にまとめ、相続人全員が署名・捺印します。

この書類が後の名義変更手続きで重要な証明となります。
遺産分割協議書の作成については「遺産分割協議書の作り方」で詳しく紹介しています。

よくある失敗:株式の評価額で揉めないためのポイント

遺産分割協議で株式の評価額を巡って揉めるケースは少なくありません。
株価は常に変動するため、「いつの時点の株価で評価するか」が争点になりがちです。
評価の基準日としては、相続開始日(死亡日)、遺産分割協議日、あるいはその中間の特定日などが考えられます。

どの日の終値を基準にするか、事前に相続人全員で合意形成しておくことが重要です。
評価方法で意見がまとまらない場合は、がもう相続相談センターの無料相談で客観的なアドバイスを求めるのも一つの方法です。ご相談で料金は一切かかりません。回数制限、時間制限もございません。
相続税の計算方法については「相続税の基礎控除と計算方法」で詳しく紹介しています。

補足情報:遺言書がある場合は原則としてその内容が優先される

被相続人が遺言書を残している場合、原則として遺産分割協議よりもその内容が優先されます。
遺言書に「A社の株式は長男に相続させる」といった具体的な記載があれば、その指示に従って手続きを進めます。
ただし、相続人全員の合意があれば、遺言書の内容と異なる遺産分割協議を行うことも可能です。

また、遺言書が法的に有効な形式(自筆証書遺言、公正証書遺言など)であるかを確認する必要があり、特に自筆証書遺言の場合は家庭裁判所による「検認」手続きが求められます。
遺言書の書き方については「遺言書の書き方と注意点」で詳しく紹介しています。

ステップ3:【チェックリスト付】名義変更に必要な書類を漏れなく集める

ステップ3:【チェックリスト付】名義変更に必要な書類を漏れなく集める

株式の名義変更手続きで最も時間と手間がかかるのが、必要書類の収集です。
証券会社から送られてくる案内に沿って、一つひとつ着実に揃えていきましょう。
特に戸籍謄本は、被相続人の出生から死亡までの連続したものを取得する必要があり、複数の役所を回らなければならない場合もあります。

書類に不備があると手続きが滞るため、チェックリストを活用して漏れなく準備することが肝心です。

遺言書に基づいて手続きする場合の必要書類一覧

遺言書がある場合の相続手続きでは、主に以下の書類が必要です。
ただし、証券会社や遺言書の種類(公正証書か自筆証書か)によって提出書類が異なる場合があるため、必ず事前に証券会社へ確認してください。
証券会社の相続手続依頼書
遺言書の写し(自筆証書遺言の場合は検認済証明書付)

被相続人の死亡が確認できる戸籍謄本(または除籍謄本)
株式を相続する人の印鑑証明書
遺言執行者がいる場合は、その方の印鑑証明書

遺産分割協議書に基づいて手続きする場合の必要書類一覧

遺産分割協議によって株式の相続手続きを進める場合は、遺言書がある場合よりも多くの書類が必要になります。
特に、相続人全員の戸籍謄本と印鑑証明書を揃える必要があるため、早めに準備に取り掛かりましょう。
証券会社の相続手続依頼書
遺産分割協議書
被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本
相続人全員の戸籍謄本
相続人全員の印鑑証明書

補足情報:戸籍謄本は被相続人の出生から死亡まで全て揃える

相続手続きにおいて、被相続人の戸籍謄本が「出生から死亡まで」必要とされるのは、「他に相続人がいないこと」を法的に証明するためです。
人は結婚や転籍などで戸籍が新しく作られるため、死亡時の戸籍だけでは全ての相続関係を把握できません。
そのため、生まれてから亡くなるまでの連続した戸籍(除籍謄本、改製原戸籍謄本を含む)を全て集め、相続人を確定させる作業が不可欠となります。

本籍地が複数にまたがる場合は、それぞれの市区町村役場に請求が必要です。

ステップ4:株式を受け取る相続人名義の証券口座を開設する

必要書類の収集と並行して、株式を受け取る相続人は自分名義の証券口座を開設します。
株式は現金と違い、保管しておくための専用口座(証券総合口座)がなければ受け取れません。
まだ口座を持っていない場合は、オンライン証券や店舗型証券会社などで新規に開設申し込みを行います。

すでに口座を持っている場合でも、被相続人と同じ証券会社に口座があった方が、後の移管手続きがスムーズに進むことが多いです。

よくある失敗:被相続人と同じ証券会社でないと手続きできない?

被相続人の証券を相続する際には、原則として被相続人が口座を持っていた証券会社に、相続人名義の口座を開設する必要があります。別の証券会社への直接移管はできません。

相続人がすでに別の証券会社で口座を持っている場合、一度被相続人の証券会社で相続人名義の口座に証券を移管した後、その口座から相続人の持つ別の証券会社の口座へ移管することは可能です。ただし、証券会社が異なる場合、口座振替の手続きが別途必要となり、手続きがやや煩雑になったり、完了までの時間が長くなったりする傾向があります。

特別な理由がなければ、被相続人が利用していた証券会社で新たに口座を開設する方が、一連の相続手続きを円滑に進めやすいでしょう。

補足情報:証券口座の開設申し込みから完了までにかかる日数の目安

証券口座の開設にかかる期間は、申し込む証券会社や方法によって異なります。
一般的に、インターネット経由で申し込み、本人確認書類をオンラインでアップロードする形式の場合、最短で翌営業日に開設が完了することもあります。
一方、郵送で書類のやり取りを行う場合は、申し込みから口座開設完了まで1週間から2週間程度の期間を見込んでおくとよいでしょう。

相続手続き全体のスケジュールを考慮し、早めに口座開設の申し込みを済ませておくことが大切です。

ステップ5:証券会社に書類を提出し、株式の移管(名義書換)を依頼する

ステップ3で集めた必要書類一式と、証券会社所定の相続手続依頼書を全て揃え、被相続人が利用していた証券会社に提出します。
書類は郵送または窓口への持参で提出してください。
書類に不備がなければ、証券会社が名義書換の手続きを進め、被相続人の口座から相続人の口座へ株式を移す「移管」処理が行われます。

このステップをもって、相続人側の実質的な手続きは完了となります。

確認事項:手続き完了までにかかる期間と完了通知の受け取り

証券会社に書類を提出してから株式の移管手続きが完了するまでの期間は、証券会社や移管内容によって異なります。一般的には1週間から2週間程度、場合によってはそれ以上かかることもあります。書類に不備があった場合や、相続関係が複雑なケースでは、さらに時間がかかることがあります。

手続きが完了すると、証券会社から「取引報告書」や「移管完了のお知らせ」といった通知が郵送または電子交付で届きます。
この通知を受け取ったら、指定した自分の口座に正しく株式が入庫されているか、銘柄や株数を確認してください。

株式の名義変更を放置する3つの危険性|配当金が受け取れない可能性も

株式の名義変更を放置する3つの危険性|配当金が受け取れない可能性も

株式の名義書換をせずに放置すると、いくつかの不利益が生じる可能性があります。
第一に、配当金を受け取れなくなるリスクです。
配当金の支払先は亡くなった人の口座のままになっているため、銀行が死亡の事実を把握すると口座が凍結され、配当金が宙に浮いてしまいます。

第二に、株価が変動しても売却できないこと。
第三に、相続人が亡くなると次の相続(二次相続)が発生し、権利関係がさらに複雑化して手続きが一層困難になる点が挙げられます。
相続を放置するリスクについては「相続を放置するとどうなるか」で詳しく紹介しています。

非上場株式(同族会社の株など)を相続した場合の特別な手続き

非上場株式(同族会社の株など)を相続した場合の特別な手続き

証券取引所に上場していない非上場株式(同族会社の株など)を相続した場合、手続きの方法が異なります。
非上場株式は証券会社で管理されていないため、名義変更は株式を発行している会社に直接請求する必要があります。
まずはその会社に連絡を取り、相続が発生した旨を伝えて、名義書換の手続きに必要な書類を確認します。

一般的には、遺産分割協議書や戸籍謄本などに加え、会社所定の「株主名簿書換請求書」や「株券」の提出を求められます。

相続した株式を売却する際に知っておくべき税金の話

相続した株式を売却して利益(譲渡所得)が出た場合、その利益に対して所得税と住民税、合計20.315%の税金がかかります。
この税金は、売却価格から取得費と手数料を差し引いた金額に対して課税されます。

また、相続税を支払っている場合は、「取得費加算の特例」という制度が利用できます。
これは、相続税申告期限の翌日から3年以内に株式を売却した場合、支払った相続税額の一部を株式の取得費に加算できるもので、結果的に売却時の税金を軽減できる可能性があります。

株式の相続手続きに関するよくある質問

ここでは、株式の相続手続きに関して、多くの方が抱く疑問について解説します。
期限や手数料、証券会社が不明な場合の対処法など、具体的なポイントを取り上げます。
相続の相談については「相続税の相談先」で詳しく紹介しています。

株式の名義変更に法的な期限はありますか?

株式の名義変更手続き自体に、法律で定められた明確な期限はありません。
しかし、相続税の申告・納付期限が「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内」と定められているため、この期間が一つの目安となります。

遺産総額を確定させるためにも、相続税の申告期限までに名義変更を完了させておくことが望ましいです。
長期間放置すると、配当金の受け取り漏れや、二次相続発生による手続きの複雑化といったデメリットが生じます。
相続手続きの期限については「相続手続きの期限が過ぎた場合の対処法」で詳しく紹介しています。

相続した株式の名義変更に手数料はかかりますか?

証券会社に支払う株式の名義変更手続きそのものの手数料は、多くの証券会社でかからない場合が多いですが、一部の証券会社や非上場株式の名義変更では手数料が発生することがあります。事前に取引のある証券会社に確認することが重要です。もし手数料がかかる場合は、その金額や支払い方法についても確認しておきましょう。

ただし、手続きに必要となる戸籍謄本や印鑑証明書などを役所で取得するための発行手数料は、相続人の自己負担となります。戸籍謄本は、被相続人の出生から死亡まで遡って取得する必要があるため、転籍を繰り返している場合などは、複数の役所から取り寄せることになり、数千円程度の実費がかかることもあります。

亡くなった親の証券会社が不明な場合の調べ方を教えてください

亡くなった人の取引証券会社がわからない場合、まずは自宅などを捜索し、証券会社から送られてくる「取引残高報告書」や「配当金計算書」といった郵便物を探すのが第一です。
タンスや机の引き出し、金庫などを確認しましょう。
それでも見つからない場合は、証券業界全体の口座情報を管理している「株式会社証券保管振替機構(通称:ほふり)」に対して、情報開示請求を行うことで、故人が口座を開設していた証券会社を調べることができます。

まとめ

株式の相続と名義変更は、証券口座の開設や多数の必要書類の準備など、預貯金の相続とは異なる手順が求められます。
手続きの全体像を5つのステップで把握し、遺産分割協議、書類収集、口座開設、移管依頼と順に進めることが重要です。
特に、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本など、収集に時間がかかる書類は早めに手配しましょう。

手続きを放置すると配当金が受け取れないなどの不利益があるため、速やかに行動することが求められます。
非上場株式の場合は発行会社へ、売却時には税金の知識も必要です。
相続に関する疑問や不安がある場合は、「何度でも何時間でも無料相談」で詳しく紹介しています。

▽ がもう相続相談センター ▽

当センターは、何度も何時間でもご相談無料ですので、お気軽にご連絡ください😊
あなたにあった対策方法をご紹介させていただきます。

がもう相続相談センター 大阪市城東区今福西3-2-2

>弊社の無料相談でできること

>最近相続のことを考え始めた方へ

目次
0120-892-102 9:30〜19:00 定休日:水曜
無料相談はこちら