不動産を相続する際には「相続登記」(相続不動産の名義変更)の手続きが必要です。
この度、制度が義務化されたことにより、期限内に行わなければ過料に科される可能性があります。
こんにちは!司法書士の本上です!
今回は相続登記について、過料の詳細や、相続登記に潜む危険性と手続き内容をご紹介します!
◯ 10万円以下の過料が科される可能性があります
期間内に登記しなかった場合…
相続した不動産について、その存在を知った日から3年以内に登記手続きを完了させないと、最高10万円の過料が課されます。
この規定は、未登記の土地を減少させることを目的としています。
不動産の管理の透明性を向上させることが期待されます。
過料の対象となる不動産について…
義務化の以前に相続した不動産も適用対象とされます。これにより、法律の遡及効力(そきゅうこうりょく)が発揮され、以前に相続されたものの未登記の不動産も登記の義務が発生します。
※遡及効力:過去に遡って法的な効果が生じることをいいます。
義務化以前の未登記不動産の登記期限
義務化の以前に相続した未登記の不動産については、以下の期限内で登記を行う必要があります。
・義務化後(2024年4月1日以降)に不動産相続を知った場合、知った日から3年以内に登記
・義務化前に不動産の相続を認知していた場合、施行日から3年以内(2027年3月31日まで)に登記
これらの期限を過ぎても、正当な理由なく登記を怠った場合は、10万円以下の過料が科せられます。
過料の適用の流れについて
※ 催告に従い適切に手続きを行えば、過料の課税を回避することが可能です。
◯ 過料以外にもこんな危険性があります…!
相続登記を怠ると、不動産の正式な所有者が不明確になります。相続が一世代前であれば、問題の解決は比較的容易ですが、複数世代にわたって登記の遅延がある場合には、問題を解決するのがより困難になる可能性があります。
不動産の相続が難しくなるリスク
複数の世代にわたって相続登記が行われずに放置された場合、正式な所有者を探すのが困難になります。
例えば、明治時代以降登記されていない物件だと、何十人もの相続人が出現し、名義の変更作業に2年以上要した事例もあるほど。。。
上記は極端な例ではありますが、相続登記を怠ると専門家の介入をもってしても解決が難しい事態に陥ることがありますので注意が必要です。
不動産の売却や活用に障害が生じる
相続登記や住所の更新が適切に行われないと、不動産の売却や有効活用が困難になります。登記簿上で所有者がはっきりしない場合、潜在的な買い手や事業者は取引におけるリスクを警戒し、契約を敬遠することが一般的です。
たとえば、アパートを建設する際にも、土地の所有者が不明確であると、ハウスメーカーはその土地の活用に消極的になることがあります。
抵当物件としての使用が制限される
土地を建物の建設用途で利用し、それに伴い融資を求める場合、金融機関は土地の所有権を確認するため登記簿を参照します。相続登記が更新されていない場合、所有者が明確でないため、金融機関はその土地を抵当として認めることを拒否する場合があります。
◯ では、相続登記ってどうやるの?
相続登記の一般的な手順
相続登記は地元の法務局で実施する必要があります。
手続きは、直接法務局で行う方法、郵送、またはオンラインでの申請が可能ですが、オンラインでの申請は事前に電子証明書の取得が必要です。多くの場合、直接窓口での申請が推奨されます。
必要書類の準備と申請書の作成
以下のように必要書類を準備し、申請書を作成します。
・故人の戸籍謄本、住民票、固定資産評価証明書などを集める
・登録免許税の計算を行い、申請書を作成する
・申請書と必要書類を法務局に提出し、登録免許税を納付する
登録免許税の計算と納付
相続不動産の固定資産評価額を基に0.4%の税率で登録免許税を計算し、納付します。
たとえば、固定資産評価額が3,000万円の場合、税額は12万円となります。
相続登記にかかる費用
自分で相続登記を行う場合は、固定資産評価額に基づいた登録免許税0.4%と、戸籍などの書類取得にかかる実費が必要です。例えば、3,000万円評価の不動産であれば、約15万円がかかる見込みです。
手続きを難しく感じる場合は、司法書士の利用がオススメです。
◯ まとめ
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