
親が亡くなったとき、相続財産に「株式」や「仮想通貨」が含まれていると、現金や不動産とは違う独特の手続きが必要になります。
「株式ってどうやって名義を変えるの?」「仮想通貨はパスワードがないと無理?」
と、不安に思う方も多いでしょう。
ここでは、相続財産に株式や仮想通貨がある場合の流れや注意点を、初めて相続の勉強をする人でも理解できるように、やさしく解説します。
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1.株式が相続財産に含まれる場合の基本

株式は、亡くなった人が証券会社に口座を持っていれば、その口座の中に記録されています。
この口座を相続人が引き継ぐには、名義変更の手続きが必要です。
流れのイメージ
- 証券会社に連絡して「相続が発生した」ことを伝える
- 必要書類(戸籍謄本、遺産分割協議書など)を提出する
- 相続人名義の口座に株式を移す
株式の評価額(相続税計算上の値段)は、亡くなった日の終値で計算されるのが基本です。
つまり、株価が高い日に亡くなった場合は相続税額も高くなる可能性があります。
2.仮想通貨が相続財産に含まれる場合の基本

仮想通貨(ビットコインやイーサリアムなど)も相続財産に含まれます。
ただし、現金や株式よりも手続きが難しい場合があります。
理由は2つ
- パスワードや秘密鍵が分からないと、誰もアクセスできない
- 海外の取引所を利用していると、国内のルールがそのまま使えない
仮想通貨の評価額は、亡くなった日の取引所の価格を基準に計算されます。
価格変動が大きいため、株式以上に「いつ亡くなったか」で税額が変わる点に注意が必要です。
3.手続きの流れ(株式・仮想通貨共通)

株式や仮想通貨の相続も、基本は「遺産分割協議」で誰が引き継ぐかを決めることから始まります。
共通の流れ
- 相続人全員で話し合い、分け方を決める
- 協議内容を遺産分割協議書にまとめる
- 株式なら証券会社へ、仮想通貨なら取引所へ申請する
- 名義変更や資産移動を行う
ここで重要なのは「必要書類が揃っていること」と「取引所に連絡できること」です。
4.よくあるトラブルと注意点

株式の場合のトラブル
- 株価の変動で不公平感が出やすい
亡くなった日の株価で評価されるため、その後に値下がりすると「損をした」と感じる相続人が出ます。 - 名義変更の遅れ
書類が揃わないと手続きが進まず、分配が長引く原因になります。 - 口座の種類が複雑
特定口座・NISAなど複数口座に分かれており、確認漏れが起こりがちです。
仮想通貨の場合
- パスワードや秘密鍵が不明
アクセスできなければ資産を失う可能性があります。 - 海外取引所の利用
英語での対応や追加書類が必要になり、手続きが難航します。 - 価格変動が大きい
話し合いの最中に値段が変わり、不公平感やトラブルにつながります。
5.事前にできる対策

1.資産を一覧にまとめておく
どの証券会社に口座があるのか、どの取引所で仮想通貨を持っているのかを、紙やデータで一覧化しておきましょう。
株式なら口座番号や銘柄、仮想通貨なら取引所名・保有している種類・数量などを書き出しておくと安心です。
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2.アクセス情報を共有できる形にする
仮想通貨は特に、パスワードや秘密鍵を知らないと全く取り出せません。
家族に直接伝えるのが難しければ、封筒にメモを入れて保管する、パスワード管理アプリの「緊急アクセス機能」を利用するなど方法を決めておきましょう。
3.必要な書類をあらかじめ準備しておく
株式の場合は、戸籍謄本や遺産分割協議書が必要になります。
仮想通貨の場合も、亡くなった時点の残高や価格が分かる画面をスクリーンショットやPDFで保存しておくと後で役立ちます。
4.遺言書を作っておく
「誰にどの資産を渡すのか」を遺言で明確にしておくと、遺産分割の場で争いになりにくくなります。
特にデジタル資産は、存在自体を家族が知らなければ引き継げません。遺言に記載しておくことが、最大のトラブル防止策です。
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5.国内に資産を寄せる
仮想通貨を海外取引所や個人ウォレットに多く置いたままにすると、相続のとき大きな壁になります。
可能であれば国内取引所にまとめておくことが望ましいです。
6.よくある質問(FAQ)
Q1.株式や仮想通貨の評価額はどうやって決まりますか?
→ 株式は亡くなった日の終値、仮想通貨は亡くなった日の取引所の価格が使われます。
Q2.仮想通貨はどこの取引所でも相続できますか?
→ 国内取引所なら比較的スムーズですが、海外取引所の場合は英語でのやり取りや追加書類が必要になることもあります。
Q3.パスワードが分からなかったらどうなりますか?
→ 基本的には資産にアクセスできず、相続人でも取り出せないことがあります。事前の管理が重要です。
まとめ
- 株式や仮想通貨も立派な相続財産
- 株式は証券会社、仮想通貨は取引所で手続きする
- 評価額は亡くなった日の価格で決まる
- 仮想通貨は特に「パスワード管理」が重要
- 事前にリスト化・遺言で準備しておけばトラブルを防げる
相続財産に株式や仮想通貨がある場合は、特に情報の管理と準備が欠かせません。
「うちは関係ない」と思っていても、最近は少額でも仮想通貨を持っている人が増えています。
早めに対策をして、家族が困らないように備えておきましょう。