2024年4月から相続登記が義務化され、法務局へ行かずに手続きを済ませたいと考えている方も多いのではないでしょうか。
しかし、専門的なソフトの導入や電子署名など、聞き慣れない手順が多くて不安に感じるかもしれません。
この記事を読めば、自宅のPCから必要なソフトを導入し、電子署名を含めた申請データの送信と、添付書類の郵送を漏れなく完了できる状態になります。
相続登記のオンライン申請とは?法務局へ行かずに手続きを進める方法
相続登記のオンライン申請は、インターネット経由で登記申請を行う方法です。法務省が提供する「申請用総合ソフト」をパソコンにインストールし、作成した申請データに電子署名を付与してネットで送信します。この方法により、申請書の提出はオンラインで行えますが、戸籍全部事項証明書などの添付書類は別途法務局へ郵送または持参する必要があります。
オンライン申請のメリットと注意点を理解し、自分に合った方法か判断することが最初のステップです。相続登記の義務化については「相続登記の義務化とは?過去の相続の期限や罰則をわかりやすく解説」で詳しく紹介しています。
メリット1:法務局の閉庁後も夜21時まで申請可能
オンライン申請の大きなメリットは、法務局の窓口が開いていない時間帯でも手続きができる点です。平日の日中に時間を確保するのが難しい方でも、夜間や休日を利用して申請の準備を進められます。システムの稼働時間は平日の午前8時30分から午後9時までで、土日祝日と年末年始は休止しています。
窓口の閉庁後も21時まで申請できるため、日中に時間を取りにくい方でもご自身の都合に合わせて手続きを進められます。なお、業務時間外に送信した申請は翌業務日の受け付けとなります。
メリット2:遠方の不動産でも自宅のパソコンから手続きできる
相続する不動産が自宅から遠い場所にある場合、オンライン申請を利用すれば、管轄の法務局へ直接出向く手間を省くことができます。添付書類の提出は郵送または持参が必要ですが、申請手続き自体は自宅のパソコンから行えるため、移動にかかる交通費や時間を軽減できる点はメリットです。また、複数の不動産が異なる管轄にある場合でも、オンライン申請の準備を効率的に進めることが可能です。
注意点:申請自体はオンラインでも戸籍謄本などの原本郵送は必須
オンライン申請は「完全オンライン」で完結するわけではない点に注意が必要です。
申請データはオンラインで送信しますが、戸籍謄本や遺産分割協議書といった一部の添付書類は、原本を法務局へ郵送しなくてはなりません。
何をデータで送り、何を郵送するのかを正しく理解しておかないと、手続きが滞る原因になります。
相続登記オンライン申請の全8ステップ|事前準備から完了通知の受け取りまで

相続登記のオンライン申請は、大きく8つの手順に分かれます。
まず、パソコン環境や必要書類を揃える「事前準備」から始めます。
次に、専用ソフトの導入、申請データの作成と送信、登録免許税の納付、そして添付書類の郵送を行います。
最後に、手続き完了の確認と登記識別情報通知書の受け取りをもって一連の流れが完了します。
この手順を一つずつ着実に進めることが重要です。
それでは、具体的な最初のステップから見ていきましょう。
ステップ1:申請前に必須!パソコン環境・必要書類の完全チェックリスト

オンライン申請を始める前に、まず必要な機材と書類がすべて揃っているかを確認します。
パソコンの動作環境が要件を満たしていない場合や、マイナンバーカード、ICカードリーダーが手元にないと、作業の途中で先に進めなくなってしまいます。
また、登記申請に必要な戸籍謄本などの必要書類を事前に集めておくことで、その後の手続きをスムーズに進められます。
相続登記の必要書類については「相続登記を自分でやる手続き|必要書類・費用・メリットを解説」で詳しく紹介しています。
PC・ソフトウェアの動作環境を確認する
使用するパソコンが、法務省の「申請用総合ソフト」の動作環境を満たしているかを確認します。
対応OSはWindowsに限られており、macOSには対応していません。
法務省のホームページで最新の推奨環境を確認し、自分のパソコンが対応しているかチェックしてください。
もし環境が整っていない場合は、対応するパソコンを準備する必要があります。
マイナンバーカードとICカードリーダーライタを準備する
オンライン申請では、申請データが本人によって作成されたことを証明するために電子署名が必要です。
この電子署名を行うために、署名用電子証明書が記録されたマイナンバーカードが必須となります。
また、マイナンバーカードの情報を読み取るためのICカードリーダーライタも用意してください。
ICカードリーダーは家電量販店やオンラインストアで購入できます。
戸籍謄本など登記に必要な書類一式を揃える
オンライン申請であっても、相続を証明するための添付書類は紙で揃える必要があります。
具体的には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の現在の戸籍謄本、不動産を相続する人の住民票、固定資産評価証明書などです。
遺言書や遺産分割協議書がある場合は、それらも必要書類に含まれます。
これらの書類は後ほど郵送するため、事前に漏れなく収集しておきましょう。
ステップ2:登記・供託オンライン申請システム「申請用総合ソフト」を導入する
申請の準備が整ったら、次に法務省が提供する「申請用総合ソフト」をパソコンにインストールします。
このソフトは、登記申請書の作成から、電子署名の付与、データの送信、公文書のダウンロードまで、オンライン申請に関する一連の操作を行うための専用ツールです。
無料でダウンロードできますが、導入と初期設定にはいくつかの手順を踏む必要があります。
公式サイトから最新版のソフトをダウンロードする
まず、登記・供託オンライン申請システムの公式サイトにアクセスし、「申請用総合ソフト」のダウンロードページから最新版のインストーラーを入手します。
ダウンロードしたファイルを実行し、画面の指示に従ってインストール作業を進めてください。
インストールが完了すると、デスクトップにソフトのショートカットアイコンが作成されます。
申請者IDを取得し利用者情報を登録する
ソフトのインストール後、初めて起動すると申請者IDの取得を求められます。
画面の指示に従い、氏名や住所、連絡先などの必要な情報を入力してIDとパスワードを設定してください。
この申請者IDとパスワードは、今後システムにログインする際に毎回必要となるため、忘れないように厳重に管理することが大切です。
登録が完了すれば、ソフトを利用する準備が整います。
ステップ3:戸籍謄本の代わりに提出できる「相続関係説明図」をPDFで作成する
相続登記では、被相続人と相続人の関係を証明するために大量の戸籍謄本を提出します。
このとき、「相続関係説明図」という家系図のような書類を添付書類として作成し、戸籍謄本の原本と共に提出することで、提出した戸籍謄本一式の原本還付(返却)を請求できます。
この相続関係説明図は、WordやExcelなどで作成したものをPDF形式に変換して、申請用総合ソフトに添付します。
ステップ4:申請用総合ソフトで登記申請書を作成・入力する
申請用総合ソフトを使い、登記申請書を作成します。
ソフトには申請書のテンプレートが用意されているため、案内に従って不動産の情報や相続人の情報、登記の目的(所有権移転)、登記原因(相続)などを正確に入力していきます。
固定資産評価証明書や登記事項証明書を見ながら入力するとスムーズです。
すべての入力が完了したら、内容に間違いがないか複数回確認してください。
ステップ5:作成したデータに電子署名を付与しオンラインで送信する
申請書の作成が完了したら、そのデータが間違いなく本人によって作成されたものであることを証明するため、「電子署名」を付与します。
この作業には、事前に準備したマイナンバーカードとICカードリーダーを使用します。
電子署名が付与された申請データは、ネットを通じて管轄の法務局へオンラインで送信され、正式な申請として受け付けられます。
マイナンバーカードを使って電子署名を行う具体的な手順
電子署名を付与する具体的な手順は以下の通りです。
まず、申請用総合ソフトのメニューから「電子署名を付与する」を選択します。
次に、ICカードリーダーをパソコンに接続し、マイナンバーカードをセットしてください。
画面にパスワード入力画面が表示されたら、マイナンバーカード取得時に設定した「署名用電子証明書」のパスワード(6〜16桁の英数字)を入力します。
認証が成功すれば、申請データへの電子署名の付与は完了です。
入力内容を最終確認し法務局へ申請データを送信する
電子署名を付与した後、最後のステップとして申請データを法務局へ送信します。
送信前に、申請書の内容、添付したPDFファイル、電子署名の状態など、すべての項目を再度確認してください。
問題がなければ、ソフトの「送信」ボタンをクリックします。
無事に送信が完了すると、「受付のお知らせ」が発行され、受付番号や日時が記録されます。
このお知らせは、後の手続きで必要になるため大切に保管しましょう。
ステップ6:登録免許税をPay-easy(ペイジー)で電子納付する
相続登記を申請する際には、不動産の価額に応じて算出される登録免許税を国に納める必要があります。
オンライン申請の場合、この登録免許税は電子納付サービス「Pay-easy(ペイジー)」などを利用して支払うことができます。
申請データを送信した後、法務局での審査を経て納付情報が発行されたら、その情報を使って支払い手続きを進めます。
相続登記の登録免許税については「相続登記の登録免許税はいくら?計算方法を具体例と免税措置で解説」で詳しく紹介しています。
発行された納付情報をもとに支払い手続きを進める
申請データが法務局に受け付けられると、申請用総合ソフト上で電子納付に必要な「収納機関番号」「納付番号」「確認番号」が発行されます。
これらの番号が登録免許税の支払い情報となります。
ソフトの「処理状況表示」画面から納付情報を確認し、メモなどに正確に控えておきましょう。
この情報がなければ支払い手続きができないため、紛失しないよう注意が必要です。
インターネットバンキングまたは金融機関ATMで納付する
取得した納付情報を使って、Pay-easy(ペイジー)に対応したインターネットバンキングや金融機関のATMから登録免許税を納付します。
ネットバンキングの場合は、ログイン後に「税金・各種料金払込み」などのメニューからペイジーを選択し、画面の指示に従って納付情報を入力してください。
ATMの場合も同様に、ペイジーのメニューから操作を進めます。
支払い完了時の控えは念のため保管しておくと安心です。
ステップ7:戸籍謄本などの添付書類原本を法務局へ郵送する

オンラインで申請データを送信し、登録免許税を納付したら、次に紙の添付書類を管轄の法務局へ郵送します。
オンラインで完結しないこの郵送手続きは、申請全体の中でも特に重要なステップです。
提出期限が定められているため、迅速かつ正確に対応する必要があります。
また、戸籍謄本などの原本還付を希望する場合は、郵送方法にも注意が必要です。
オンラインで送信したもの以外に郵送が必要な書類一覧
郵送が必要な書類は、オンラインで送信した申請書データや相続関係説明図(PDF)以外のすべての添付書類です。
具体的には、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、不動産を相続する人の住民票、固定資産評価証明書、遺産分割協議書(印鑑証明書付き)などが該当します。
これらの必要書類一式を漏れなく揃えて郵送してください。
申請受付から2日以内!郵送期限と送付方法の注意点
添付書類の郵送は、オンライン申請が受け付けられた日の翌日から数えて2日以内に行う必要があります。
期限が短いため、事前に準備を済ませておくことが肝心です。
送付する際は、封筒の表面に「不動産登記申請書 添付書類在中」と朱書きし、書留郵便やレターパックプラスなど、配達状況を追跡できる方法で送るのが確実です。
ステップ8:手続き完了を確認し登記識別情報通知書を受け取る
添付書類の郵送後、法務局での審査が完了するのを待ちます。
審査が無事に終わると、相続登記の手続きは完了です。
完了したかどうかは申請用総合ソフトで確認でき、登記名義人となった証明として「登記識別情報通知書」が発行されます。
これは従来の権利証(登記済証)に代わる非常に重要な書類なので、厳重に管理しなくてはなりません。
申請用総合ソフトの「処理状況」で完了を確認する
申請後の進捗状況は、申請用総合ソフトにログインし、「処理状況表示」画面で確認できます。
審査中は「手続審査中」と表示され、手続きが完了すると「手続終了」に変わります。
もし書類に不備があった場合は、「補正」の通知が届くため、定期的に処理状況をチェックすることが大切です。
補正指示があった場合は、速やかに対応してください。
登記識別情報通知書を書面またはオンラインで受け取る
登記完了後、登記識別情報通知書を受け取ります。
受け取り方法は、申請時に「書面での交付」か「オンラインでの交付」を選択できます。
書面交付を選んだ場合は、法務局の窓口で直接受け取るか、郵送で送付してもらいます。
ネットでの受け取りを選んだ場合は、申請用総合ソフトを通じてダウンロードしますが、セキュリティ上のリスクもあるため、一般的には書面での受け取りが推奨されます。
複雑なオンライン申請はがもう相続相談センターにご相談を|『何度でも何時間でも無料相談』で不安を解消
オンライン申請は便利な反面、専用ソフトの操作や多数の書類準備など、複雑で手間のかかる作業も少なくありません。
もし手続きに少しでも不安を感じるなら、専門家である司法書士に相談するのも有効な選択肢です。
専門家に依頼すれば、申請書の作成から添付書類の収集、法務局とのやり取りまで、すべてを代理人として任せることができます。
無料相談を活用し、自分で行うべきか、専門家に任せるべきかを判断すると良いでしょう。
相談は何度でも、何時間でも無料なので、納得いくまで話を聞いてから決められます。
無料相談については「相続登記の無料相談で迷う相続問題を解決」で詳しく紹介しています。
相続登記のオンライン申請に関するよくある質問

ここでは、相続登記のオンライン申請に関して多くの方が抱く疑問について解説します。
相続登記のオンライン申請は、パソコン操作が苦手でもできますか?
専用ソフトのインストールや電子署名など、一定のPCスキルが求められるため、操作に不慣れな場合は難しく感じる可能性があります。
法務省のマニュアルも用意されていますが、手順が複雑なため、途中で挫折してしまう方も少なくありません。
自分で進めるのが困難だと感じたら、無理せずがもう相続相談センターにご相談ください。ご相談で料金は一切かかりません。回数制限、時間制限もございません。
オンライン申請でも、戸籍謄本などの書類は結局郵送が必要なのでしょうか?
はい、必要です。
申請データはオンラインで送信しますが、戸籍謄本や遺産分割協議書、印鑑証明書といった相続を証明する公的な添付書類は、原本を法務局へ郵送しなければなりません。
オンライン手続きと郵送手続きの両方が必要になる点を理解しておくことが重要です。
オンライン申請でかかる費用(登録免許税)はどのように支払うのですか?
登録免許税は、電子納付システム「Pay-easy(ペイジー)」を利用して支払うのが一般的な方法です。
申請後に発行される納付情報に基づき、インターネットバンキングやペイジー対応の金融機関ATMから納付します。
収入印紙を郵便局などで購入して台紙に貼って郵送する方法もありますが、電子納付の方が手間がかかりません。
まとめ
相続登記のオンライン申請は、法務局へ行かずに手続きを進められる便利な方法ですが、パソコン環境の準備から専用ソフトの操作、添付書類の郵送まで、多くの手順を踏む必要があります。
各ステップの内容を正確に理解し、一つずつ着実に進めることが重要です。
もし手続きの途中で不安を感じたり、作業が複雑で難しいと感じたりした場合は、一人で抱え込まずに司法書士などの専門家に相談することも検討してください。



