○ 相続手続きの全体像

まずは下記の表をご覧ください。

相続の手続きはザっとこれだけあります。

期限付きの手続きもあれば、法律上の手続き(右上)は専門知識が必要なのものが多く、相続手続きを自力で完了するのはなかなか難しいです。

○ 相続手続きのスケジュール

下記の表は、先ほどの手続きをスケジュール順に並び変えたものです。

ご覧の通り、ご家族様がお亡くなりになられてから１０ヶ月以内にはあらかたの手続きを済ませる必要があります。

期限付きの手続きを放置しているとペナルティを科せられる可能性がありますので、気をつけましょう。

重要な手続きピックアップ

以下は遺産相続発生後の初期段階における重要な手続きです。

⚫︎　7〜14日までに行う相続手続き

・【速やかに】公共料金の契約名義変更及び解約

・【7日以内に提出】死亡届と火葬許可の申請

・【10日 or 14日以内】年金受給の停止

・【14日以内】国民健康保険証の返却

・【14日以内】介護保険の資格喪失届の提出

・【14日以内】世帯主変更届の提出

葬儀準備などで忙しい時期ではありますが、これらの手続きには迅速に対応することが求められます。

⚫︎　3〜4ヶ月後までに行う相続手続き

・【速やかに行う】遺言の有無の確認と相続人、財産の特定

・【3ヶ月以内に完了】相続放棄の判断と手続き

相続の開始が明らかになった時点から3ヶ月以内に相続放棄の手続きを行う必要があります（民法による規定）。

相続放棄を行うかどうかを決定するためには、相続財産の全容を詳しく調査し、把握する必要があります。この作業には時間がかかることが多いので、できるだけ早期に開始することが望ましいです。また、相続放棄に必要な戸籍謄本などの公的文書の取得も時間を要する作業です。

相続放棄を検討する際には、放棄することで避けられる負債と、受け取れなくなる資産のバランスを考え、その利益とリスクを慎重に評価することが重要です。

・【4カ月以内】所得税の準確定申告

⚫︎　10カ月～1年以内に行う相続手続き

・【なるべく10カ月以内】遺産分割

・【10カ月以内に】相続税申告・納税

・【1年以内】遺留分侵害請求

この段階での手続きは、故人が亡くなった後の10カ月〜1年の間に進める必要があります。時間的な余裕があるため、手続きを前倒しで行うことで、最後の締切に慌てることがないようにしましょう。

⚫︎　2～5年後までに行う手続き

・【2年以内】高額医療費の申請、葬祭費、埋葬料

・【3年以内】生命保険の死亡保険金の請求

・【5年以内】遺族年金、未支給年金の受給申請

最終段階で取り組むべき手続きは、被相続人の死後2年〜5年の間に行います。この期間には時間的な余裕がありますが、忘れずに適切に対処することが重要です。

◯　相続手続きの大変なポイント！

相続が開始されると、すぐに葬儀の準備や各種公的手続きに忙しくなりますが、遺産分割の手続きを同時進行しなければなりません。下記の表は、すべて自力で進める場合に連絡を取ったり、手続きに向かわなければならない場所の一例です。

また、専門家主導の元で進めないと、相続人間でトラブルになる可能性も高くなります。

専門知識が必要で難しい手続きが多く、専門家に頼った方が良いケースもございます。

輪をかけて面倒なポイントが、専門家も多岐にわたる点です。司法書士ひとりに任せれば相続手続きがすべて終わるというものではありません。司法書士、弁護士、税理士、行政書士と、各専門家によって担当できる範囲が限られています。

そのため、もし専門家に相続手続きを任せることにしても、それぞれの専門家を探す必要が出てくるわけです。相談するだけでも料金がかかりますし、合見積もりを取ったり、信頼できる人か確かめるとなると、さらに手間がかかります。

加えて、遺産分割内容に納得していない相続人が現れたりすると、いよいよ泥沼化してしまいます。

そうこうしていると、あっという間に時間がたち、手続き期限をすぎる一連の流れが「相続の大変なポイント」です。

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