ご家族が亡くなられ、深い悲しみの中で多くの手続きに追われ、何から手をつけてよいか分からず不安に感じていることでしょう。
この記事では、死亡後に必要な年金手続きの全行程を、期限や必要書類、注意点とともに分かりやすく解説します。
この記事を読めば、亡くなった人の状況に合わせて、どの手続きをいつまでに、どこで行うべきかを理解し、漏れなくスムーズに申請を完了できる状態になれます。
死亡後の年金手続きは5ステップ!全体像と流れを最初に確認

身内が死亡した後の年金手続きは、大きく5つのステップで進めます。
まず、亡くなった方が受け取っていた年金の受給を止める手続きが必要です。
次に、本人が受け取るはずだった「未支給年金」を請求します。
その後、遺族が受け取れる「遺族年金」の種類と要件を確認し、二度手間にならないよう必要書類を準備します。
最後に、書類が揃ったら年金事務所の窓口で請求手続きを行う、という流れが全体像です。
ステップ1:【期限に注意】年金受給を止める「受給権者死亡届」の提出

年金を受けている方が死亡した場合、年金の受給権がなくなるため、速やかに「年金受給権者死亡届(報告書)」を提出して受給を止める必要があります。
この手続きを忘れると、年金が支払われ続け、後で返金を求められる可能性があるため注意が必要です。
死亡の事実を届け出る手続きは、国民年金の場合は14日以内、厚生年金保険の場合は10日以内と期限が設けられていますが、日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合は、原則として「年金受給権者死亡届(報告書)」の提出は不要です。
死亡後の手続きについては「死亡後の手続き優先順位チェックリスト」で詳しく紹介しています。
提出先は年金事務所または年金相談センター
「年金受給権者死亡届」の提出先は、原則として年金事務所または街角の年金相談センターです。ただし、障害基礎年金や遺族基礎年金のみを受給していた方が亡くなった場合は、市区町村の役場にも提出できます。事前に日本年金機構のウェブサイトなどで管轄の窓口を確認してから訪問するとスムーズです。
共済年金を受給していた場合は、各共済組合への届出が別途必要になるケースもあります。
厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内と期限が異なる
年金の受給停止手続きは、亡くなった方が受給していた年金の種類によって提出期限が異なります。
厚生年金を受給していた場合は死亡日から10日以内、国民年金のみを受給していた場合は14日以内が提出期限です。
どちらの年金を受給していたか不明な場合は、年金証書などで確認しましょう。
期限が非常に短いため、葬儀などと並行して速やかに準備を進める必要があります。
マイナンバーが日本年金機構に登録済みなら提出不要なケースも
日本年金機構にマイナンバーが登録されている方が亡くなった場合、住民基本台帳ネットワークシステムを通じて死亡情報が連携されるため、原則として「年金受給権者死亡届」の提出を省略できます。
マイナンバーが登録済みかどうかは、ねんきんネットや年金事務所への問い合わせで確認可能です。
ただし、手続きを確実に行うため、念のため管轄の年金事務所に提出が必要か確認しておくと安心です。
年金の受給停止手続きとあわせて、故人が受け取るはずだった年金の請求も忘れずに行いましょう。
ステップ2:故人が受け取るはずだった「未支給年金」を請求する

未支給年金とは、亡くなった人の年金のうち、まだ受け取っていなかった分のことです。
年金は原則として偶数月の15日に前月までの2ヶ月分が後払いで支給されるため、多くの場合、死亡した時点で本人が受け取りできていない年金が発生します。
この未支給年金は、亡くなった人の相続財産ではなく、一定の範囲の遺族が自己の権利として請求し、受け取りが可能です。
未支給年金を受け取れる遺族の範囲と優先順位
未支給年金を受け取れるのは、亡くなった方と生計を同じくしていた遺族に限られます。
請求できる遺族には優先順位が定められており、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹、その他3親等内の親族の順です。
例えば、配偶者である妻が請求した場合、子供や孫は請求できません。
同じ順位の家族が複数いる場合は、代表者一人が請求手続きを行います。
請求期限は5年!早めに手続きを進めましょう
未支給年金の請求手続きには期限があり、亡くなった方の年金の支払日の翌月の初日から5年を過ぎると、時効によって請求する権利がなくなってしまいます。
他の相続手続きに追われているうちについ忘れがちですが、権利を失わないためにも、年金の受給停止手続きと同時に、あるいはなるべく早めに請求手続きを進めることをおすすめします。
未支給年金の請求が終わったら、次に遺族自身の生活を支える遺族年金の受給資格を確認します。
ステップ3:自分がもらえるのはどれ?遺族年金の種類と受給要件を確認

遺族年金は、国民年金または厚生年金の被保険者だった方が亡くなったときに、その方によって生計を維持されていた遺族の生活を支えるために支給される年金です。
遺族年金には「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2種類があり、亡くなった方の年金加入状況や遺族の状況によって、受け取れる年金の種類や対象者が異なります。
両方の要件を満たす場合は、併せて受給が可能です。
【子のいる配偶者など】遺族基礎年金の対象者と受給額
遺族基礎年金は、国民年金の被保険者などが亡くなった場合に支給されます。
対象となるのは、亡くなった方に生計を維持されていた「18歳年度末までの子(障害等級1級・2級の場合は20歳未満)がいる配偶者(妻または夫)」またはその「子」です。
したがって、子のいない配偶者は遺族基礎年金の対象にはなりません。
受給額は定額で、子の人数に応じて加算されます。
【厚生年金加入者】遺族厚生年金の対象者と受給額
遺族厚生年金は、会社員や公務員など厚生年金の被保険者だった方が亡くなった場合に支給されます。
遺族基礎年金よりも対象となる遺族の範囲が広く、子のいない妻や、一定の要件を満たす55歳以上の夫、父母、孫、祖父母も対象です。
以前の共済年金も厚生年金に一元化されたため、元公務員の方も同様です。
受給額は、亡くなった方の厚生年金加入期間や生前の報酬額に基づいて計算されます。
自分の年金と遺族年金は両方受け取れる?併給のルール
65歳以上になり、自身の老齢年金と遺族厚生年金の両方の受給権がある場合、残念ながら両方を満額受け取ることはできません。
原則として、まず自身の老齢基礎年金と老齢厚生年金が支給されます。
その上で、遺族厚生年金の額が自身の老齢厚生年金の額を上回る場合に、その差額分が支給される仕組みです。
ただし、有利な受け取り方を選択できる場合があります。
自分がどの年金の対象になるか把握できたら、次は手続きに必要な書類の準備に取り掛かりましょう。
ステップ4:二度手間を防ぐ!手続きに必要な書類を準備する
年金手続きをスムーズに進めるためには、事前の書類準備が不可欠です。
特に戸籍謄本や住民票などは、本籍地や住所地の役所で取得する必要があり、郵送での取り寄せには時間がかかることもあります。
申請窓口で不備を指摘されて何度も役所へ足を運ぶといった二度手間を防ぐためにも、事前に必要な書類をリストアップし、計画的に準備を進めることが重要です。
【チェックリスト】全ての手続きで共通して必要になる基本書類
未支給年金や遺族年金の手続きでは、以下の書類が一般的に必要となります。個別の状況によって追加書類が必要となる場合があるため、事前に確認することをお勧めします。
* 年金手帳または基礎年金番号がわかる書類
* 戸籍謄本(死亡の事実と請求者との続柄がわかるもの)
* 世帯全員の住民票の写し
* 死亡者の住民票の除票
* 受取先金融機関の通帳またはキャッシュカード
* 窓口へ行く人の本人確認書類(運転免許証など)
**【遺族年金の場合に必要となる主な追加書類】**
* 死亡診断書(死体検案書等)のコピーまたは死亡届の記載事項証明書
* 請求者の収入が確認できる書類(所得証明書など)
これらの書類は一例であり、手続きの種類や個別の事情によって必要書類が異なる場合があります。詳細は年金事務所や街角の年金相談センターにご確認ください。
【手続き別】未支給年金・遺族年金の請求で追加となる書類
基本書類に加えて、請求する年金の種類によって追加の書類が必要になります。
例えば、未支給年金の請求では、亡くなった人と請求者が生計を同じくしていたことを証明する書類(健康保険証の写しなど)を求められることがあります。
また、遺族基礎年金の請求で高校生の子がいる場合は在学証明書が必要になるなど、個々の状況に応じた書類の準備が求められます。
必要書類がすべて揃ったら、いよいよ窓口での請求手続きです。
ステップ5:書類が揃ったら年金事務所の窓口で請求手続きを行う
必要書類がすべて準備できたら、最終ステップとして年金事務所などの窓口で請求手続きを行います。
窓口では、備え付けの請求書に必要事項を記入し、準備した書類とともに提出します。
請求書は記入項目が多く、亡くなった方の年金加入記録などを記入する欄もあるため、年金証書やねんきん定期便など、記録がわかるものを持参するとスムーズに記入できます。
親が亡くなった後の手続きや相続の流れについては「親が亡くなったら必要な手続き・相続の流れ」で詳しく紹介しています。
請求書の提出先と手続きができる場所
請求する年金の種類によって、主な提出先が異なります。
遺族基礎年金のみを請求する場合はお住まいの市区町村役場の窓口、遺族厚生年金を請求する場合は最寄りの年金事務所または街角の年金相談センターです。
遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方を請求する場合は、年金事務所の窓口で一括して手続きができます。
事前に管轄のセンターなどを確認しておきましょう。
手続きで不明点があれば年金事務所や専門家への相談がおすすめ
年金制度は複雑であり、個々の家族構成や亡くなった方の加入状況によって手続きの内容が大きく異なります。
請求書の書き方や必要書類で分からないことがあれば、まずは年金事務所や年金相談センターの窓口で質問しましょう。
また、相続手続き全体に不安がある場合や、平日に時間を取れない場合は、司法書士や社会保険労務士といった専門家への相談も有効な選択肢です。
相続手続きの全体像については「相続手続きの全体像と流れ」で詳しく紹介しています。
自分だけで手続きを進める際には、いくつかの注意点があります。
遺族年金の手続きでよくある失敗と専門家に相談するメリット
遺族年金の手続きは、期限が短く書類も複雑なため、知識がないまま進めると失敗につながることがあります。
特に、葬儀や他の相続手続きで心身ともに余裕がない中で、請求忘れなどのミスが起こりやすいです。
こうした失敗を防ぎ、確実に年金を受け取るためには、専門家への相談が有効な手段となります。
専門家は手続き全体を俯瞰し、漏れや誤りがないようサポートします。
書類の不備で何度も役所に通うことになるケース
よくある失敗として、必要書類の不備が挙げられます。
例えば、戸籍謄本が「死亡の事実」と「請求者との続柄」の両方を証明できるものでなかったり、住民票の記載事項が不足していたりして、窓口で受理されないケースです。
その結果、再度役所へ書類を取りに行き、年金事務所へ出向くという手間が発生し、時間的にも精神的にも大きな負担となってしまいます。
もらえるはずの年金に気づかず請求漏れが起きるリスク
最も避けたい失敗が、請求漏れです。
遺族年金以外にも、亡くなった方の状況によっては「寡婦年金」や「死亡一時金」といった給付金を受け取れる可能性があります。
しかし、これらの制度を知らないために請求を忘れ、時効を迎えて権利を失ってしまうケースが後を絶ちません。
本来受け取れるはずだった年金や一時金を確実に受け取るためにも、正しい知識が不可欠です。
複雑で不安な点は「何度でも何時間でも無料相談」で専門家に確認しよう
自分がどの年金の対象になるのか、手続きの進め方は正しいか、必要書類に漏れはないかなど、少しでも不安な点があれば、専門家への相談をおすすめします。
特に、何度でも何時間でも無料で相談できるサービスを利用すれば、費用を気にすることなく、納得できるまで質問が可能です。
複雑な手続きだからこそ、専門家の知識をうまく活用することが重要になります。
手続きと並行して、受け取る年金と税金の関係についても正しく理解しておくことが重要です。
遺族年金に相続税はかかる?知っておきたい税金の知識

遺族年金や未支給年金を受け取った際、税金の取り扱いがどうなるかは多くの人が気にする点です。
これらの年金は、預貯金や不動産といった一般的な遺産とは税法上の扱いが異なります。
「みなし相続財産」に含まれるのかどうかなど、相続税との関係を正しく理解しておくことで、後の確定申告などで慌てずに済みます。
遺族年金は非課税!所得税も住民税もかからない
遺族の生活保障という公的な目的を持つ遺族年金(遺族基礎年金・遺族厚生年金)は、税法上、非課税所得と定められています。
したがって、遺族年金には所得税や住民税は一切かかりません。
相続税の課税対象にもならないため、遺族年金を受け取ることによって税金の申告が必要になることはありません。
未支給年金は相続税の対象外だが一時所得として確定申告が必要な場合も
未支給年金は、亡くなった方の財産ではなく、受け取った遺族固有の権利と解釈されるため、相続財産には含まれず、相続税の対象外です。
ただし、受け取った遺族の一時所得として所得税の課税対象になります。
他の一時所得と合算し、その合計額から最高50万円の特別控除額を差し引いた金額の2分の1が課税対象となります。この課税対象額がある場合は確定申告が必要です。
ここでは、遺族年金の手続きに関するよくある質問にお答えします。
相続時の遺族年金手続きに関するよくある質問
相続が発生した際の遺族年金手続きについて、多くの方が疑問に思う点をまとめました。
Q. 故人の年金受給停止手続きは、いつまでに済ませる必要がありますか?
亡くなった方が受給していた年金の種類で期限が異なります。
厚生年金は死亡後10日以内、国民年金は14日以内です。
ただし、日本年金機構に故人のマイナンバーが登録されていれば、死亡届の提出は原則不要となります。
Q. 自分の老齢年金と、配偶者の遺族年金は両方受け取れますか?
65歳以上で夫が亡くなった場合など、両方の受給権があっても満額を両方もらうことはできません。
自分の老齢年金が優先して支給され、遺族年金は老齢年金の額を上回る差額分が支給されるのが基本です。
妻にとって有利な方法を選択できます。
Q. 相続放棄をした場合でも、遺族年金や未支給年金は請求できますか?
はい、相続放棄をしても請求できます。
遺族年金や未支給年金は、相続財産ではなく受取人固有の権利とされているためです。
したがって、故人に借金などがあり相続放棄をした場合でも、これらの年金を受け取ることが可能です。
まとめ
身内が亡くなった後の年金手続きは、期限が短く複雑なものが多いですが、一つずつ着実に進めることが大切です。
まずは最優先で年金の受給停止手続きを行い、その後、未支給年金や遺族年金の請求を進めましょう。
必要書類の準備や制度の理解に不安がある場合は、無理せず年金事務所や専門家に相談することが、スムーズで確実な手続きにつながります。
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