相続不動産の管理は誰が?遺産分割前後の費用と責任を解説

相続不動産の管理は誰が?遺産分割前後の費用と責任を解説

不動産相続が発生した際、その管理は誰が、いつまで、どのような責任を負うのかという問題は避けて通れません。
遺産分割協議が終わるまでは相続人全員に管理義務があり、固定資産税などの費用も発生します。
本記事では、相続の状況別に不動産の管理義務者が誰になるのか、具体的な費用、放置した場合のリスク、そして対処法について詳しく解説します。

この記事でわかること
・ 遺産分割の前後など状況によって変わる不動産の管理責任の所在
・ 固定資産税や修繕費といった管理にかかる費用の種類と負担ルール
・ 管理を放置した場合に生じる損害賠償や行政処分などのリスク
・ 管理者が見つからないなど、管理が困難な場合の具体的な対処法

目次

【状況別】相続した不動産の管理義務は誰にあるのか

【状況別】相続した不動産の管理義務は誰にあるのか

相続した不動産の管理義務と責任は、遺産分割協議が完了しているかどうか、あるいは相続放棄をしたかなど、状況によって異なります。
誰が責任を負うのかを明確に理解しておくことで、相続人間のトラブルを未然に防ぐことにもつながります。
ここでは、主な3つの状況に分けて、誰が管理義務を負うのかを説明します。
法定相続人の範囲については「誰が相続人になる?法定相続人の範囲」で詳しく紹介しています。

遺産分割協議が完了する前は相続人全員に管理義務がある

遺産分割協議が完了するまでの間、相続不動産は法定相続人全員の共有財産として扱われます。
そのため、不動産の管理義務も相続人全員が共同で負うことになります。
具体的には、建物の破損箇所を修繕する「保存行為」や、短期的な賃貸借契約を結ぶ「管理行為」などが含まれます。

固定資産税の支払いも、この期間は相続人全員の義務です。
全員で協力して管理方法や費用負担について話し合い、トラブルを避ける必要があります。

遺産分割協議の完了後は不動産を取得した相続人が管理する

遺産分割協議がまとまり、特定の相続人が不動産を取得することが決まった場合、その時点から管理責任は不動産を取得した相続人に移ります。
遺産分割協議書を作成し、法務局で相続登記(名義変更)の手続きを完了させれば、法的に所有者が確定します。
相続登記については「相続登記の始め方」で詳しく紹介しています。

以降は、固定資産税の納付、建物の維持管理、火災保険への加入など、不動産に関するすべての管理とそれに伴う責任は、新しい所有者が一人で負うことになります。

相続放棄をしても次の管理者が決まるまで責任が残る場合がある

相続放棄をすれば、不動産の管理責任から完全に解放されると考えるかもしれません。
しかし、民法の改正により、相続放棄時にその不動産を現に占有していた場合、次の相続人や相続財産清算人に不動産を引き渡すまで、保存(管理)する責任が残ることになりました。
管理を怠り建物が倒壊するなどして第三者に損害を与えた場合、損害賠償責任を問われる可能性もあるため、注意が必要です。
相続放棄後の空き家管理義務については「相続放棄した空き家はどうなる?」で詳しく紹介しています。

相続不動産の管理で発生する具体的な費用とは

不動産相続では、名義変更の手続きだけでなく、継続的な管理費用が発生します。
これらの費用は多岐にわたり、計画的に準備しておかないと大きな負担となる可能性があります。

具体的にどのような費用がかかるのかを事前に把握しておくことが、適切な不動産管理の第一歩です。
ここでは、主な管理費用について解説します。

毎年課税される固定資産税や都市計画税

不動産を所有している限り、毎年必ず発生するのが固定資産税です。
市街化区域内に不動産がある場合は、都市計画税も併せて課税されます。
これらの税金は、毎年1月1日時点の所有者に対して課税されるため、年の途中で相続が発生しても、納税通知書は被相続人(亡くなった方)宛てに届きます。

しかし、納税義務は相続人が引き継ぐため、相続人全員で支払う必要があります。

火災保険料やマンションの管理費・修繕積立金

不動産が戸建ての場合は火災や自然災害に備えるための火災保険料が、マンションの場合はこれに加えて管理費や修繕積立金が毎月発生します。
管理費は共用部分の清掃や維持管理に、修繕積立金は将来の大規模修繕に備えるための費用です。
これらの支払いを滞納すると、遅延損害金が発生したり、最悪の場合は競売にかけられたりする可能性もあるため、着実に支払い続ける必要があります。

建物の維持に必要なメンテナンスや修繕にかかる費用

建物は時間とともに劣化するため、定期的なメンテナンスや修繕が不可欠です。
例えば、外壁の塗装、屋根の葺き替え、給湯器やエアコンなどの設備交換にはまとまった費用がかかります。
特に空き家になっている場合は、換気不足によるカビの発生や、雨漏りなどの不具合が起きやすくなります。

資産価値を維持し、近隣トラブルを防ぐためにも、計画的な修繕費用の準備が重要です。

管理費用は誰が支払う?負担の割合と精算方法を解説

管理費用は誰が支払う?負担の割合と精算方法を解説

相続不動産から生じる固定資産税や修繕費などの管理費用を、誰がどのように負担するのかは、相続人間でトラブルになりやすい問題です。
特に遺産分割協議が長引く場合は、負担のルールを明確にしておかないと、後々大きな揉め事に発展しかねません。
ここでは、費用負担の原則的な考え方と、実務上の精算方法について解説します。

原則として法定相続分に応じて相続人全員で負担する

遺産分割協議が完了するまでの間、相続不動産は相続人全員の共有物とみなされます。
そこから発生する固定資産税や管理費などの費用も、相続人全員で負担するのが原則的なルールです。
負担割合は、民法で定められた法定相続分に従うのが一般的です。

例えば、相続人が配偶者と子2人であれば、配偶者が2分の1、子がそれぞれ4分の1ずつ負担することになります。

相続人の一人が立て替えた費用を後から精算する方法

現実的には、相続人の一人が代表して管理費用を立て替えて支払うケースが多く見られます。
立て替えた費用は、後から他の相続人に請求することが可能です。
精算方法としては、遺産分割協議の際に、立て替えた金額を遺産総額から差し引いて残りを分割する方法や、不動産を取得した相続人が他の相続人に支払う代償金から相殺する方法などがあります。

後日のトラブルを防ぐため、支払いに関する領収書は必ず保管しておきましょう。

相続した不動産の管理を怠ることで生じる3つのリスク

相続した不動産の管理を怠ることで生じる3つのリスク

相続した不動産の管理が適切に行われないと、さまざまな問題点が生じる可能性があります。
単に資産価値が下がるだけでなく、法的な責任を問われたり、行政からペナルティを科されたりすることもあります。

ここでは、管理を怠ることで具体的にどのようなリスクが発生するのか、主な3つの点を解説します。

建物の倒壊などで近隣に被害を与えた場合の損害賠償責任

管理不全の建物が原因で第三者に損害を与えた場合、所有者(相続人)は損害賠償責任を負うことになります。
例えば、老朽化したブロック塀が倒れて通行人が怪我をした、屋根瓦が強風で飛ばされて隣家の車を傷つけたといったケースが考えられます。
これは民法上の「土地工作物責任」にあたり、相続人全員が連帯して責任を負わなければならない可能性があります。

「特定空き家」に指定され行政から勧告や命令を受ける可能性

長期間放置され、倒壊の危険性や衛生上の問題がある空き家は、行政によって「特定空き家」に指定されることがあります。
指定されると、まず助言や指導が行われ、改善されない場合は勧告、命令と段階的に措置が厳しくなります。
命令に従わないと過料が科されるほか、最終的には行政代執行によって建物が解体され、その費用を請求されるという問題点があります。
空き家を相続した場合の管理については「空き家を相続したらどうする?」で詳しく紹介しています。

また、固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなり、税額が最大で6倍になる可能性もあります。

建物の劣化や周辺環境の悪化による資産価値の低下

適切な管理が行われない不動産は、急速に劣化が進みます。
雨漏りやシロアリ被害、設備の故障などが発生し、建物の資産価値は著しく低下します。
また、庭の雑草が伸び放題になったり、不法投棄の場所になったりすると、周辺の景観や治安を悪化させる原因にもなります。

将来的に売却や活用を考えた際に、買い手が見つからなかったり、土地の評価額が大幅に下がってしまったりするリスクがあります。

管理者が見つからない場合の具体的な対処法

相続人同士で管理の押し付け合いになったり、そもそも相続人が不明だったりと、不動産の管理者が決まらないケースは少なくありません。
しかし、管理が難しいからといって放置すれば、前述のようなリスクが生じます。

このような状況に陥った場合でも、解決策はあります。
ここでは、管理者が見つからない場合の具体的な対処法を解説します。

相続人間で意見が対立する場合は代表者を立てて管理する

相続人が複数いるものの、誰が管理するかで意見がまとまらない場合、相続人のうちの一人を代表者として選任する方法があります。
管理が難しいと感じる相続人は、代表者に管理を委任し、費用は法定相続分に応じて負担する、といった取り決めをします。

この際、管理の内容、費用の分担方法、報告の頻度などを記載した合意書を作成しておくと、後のトラブル防止に役立ちます。

相続人が一人もいない場合は相続財産清算人の選任を申し立てる

相続人が存在しない、あるいは相続人全員が相続放棄をした結果、不動産の管理者がいなくなってしまう場合があります。
このようなときは、家庭裁判所に「相続財産清算人」の選任を申し立てることで対処できます。
相続財産清算人は、弁護士などの専門家が選任され、相続財産を調査・管理し、最終的には競売などで換価して国庫に納付する手続きを行います。
相続人がいない場合の不動産については「相続人がいない場合はどうなる?」で詳しく紹介しています。

不動産の相続管理は専門家への無料相談で解決の糸口が見つかる

不動産相続における管理の問題は、法律や税金が複雑に絡み合い、当事者だけで解決するのが難しいケースも少なくありません。
誰が管理責任を負うのか、費用負担はどうすれば公平か、といった悩みは、専門家に相談することで解決の糸口が見つかります。
多くの専門家が無料相談を実施しており、気軽に現状を話せる機会を提供しています。
相続税の相談先については「相続税の相談は誰にすべき?」で詳しく紹介しています。

相続不動産の管理に関するよくある質問

不動産相続の管理については、具体的な状況に応じた疑問が生じやすいものです。
ここでは、相続不動産の管理に関して特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。

遺産分割協議中に発生した固定資産税は、最終的に誰が支払うのですか?

不動産を取得した相続人が最終的に負担するのが一般的です。
遺産分割協議で、協議中に発生した税金を誰がどう負担するかを取り決めます。
法定相続分で按分したり、取得者が過去分も遡って全額負担したりと、相続人間の合意によってその責任の所在を決定します。

相続人全員で相続放棄をした場合、空き家の管理責任は完全になくなりますか?

なくならない場合があります。
相続放棄時にその不動産を「現に占有」していた相続人は、次に管理を始める人(相続財産清算人など)に引き渡すまで、不動産を保存(管理)する責任が残ります。
この管理責任を怠って損害が生じた場合、責任を問われる可能性があります。

誰も相続したがらない不動産があるときは、どうすればよいのでしょうか?

複数の対処法が考えられます。
売却して金銭で分ける「換価分割」や、一定の要件を満たす土地であれば国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」の利用が選択肢になります。
どの方法が最適か判断が難しい場合は、専門家に相談し、不動産の状況に応じたアドバイスを受けるのが賢明です。

専門家への相談で不動産管理の悩みを解決する3つのメリット

不動産相続に関する悩みは、専門家への相談が解決への近道です。
特に、費用や手続きの面で不安を感じている場合、無料相談を活用することで多くのメリットが得られます。
ここでは、専門家に相談することで得られる具体的な利点を3つ紹介します。
不動産をスムーズに相続するためにやるべきことについては「不動産をスムーズに相続するための準備」で詳しく紹介しています。

時間や回数を気にせず納得できるまで無料で相談できる

専門家による無料相談では、相談料が一切かからないのはもちろん、時間や回数にも制限が設けられていない場合があります。
不動産相続の問題は複雑で、一度の説明ですべてを理解するのは難しいこともあります。
相続に関する無料相談については「無料相談を活用して相続の悩みを解決」で詳しく紹介しています。

費用を気にすることなく、何度でもじっくり話を聞いてもらえるため、状況を正確に伝え、納得できるまで質問することが可能です。

状況に合わせた最善の解決策を一緒に見つけてくれる

専門家は、一方的に手続きの方針を決めるのではなく、まず相談者の状況や希望を丁寧にヒアリングします。
そのうえで、法律や税務の観点から複数の選択肢を提示し、それぞれのメリット・デメリットを分かりやすく説明してくれます。
相談者にとって最も安心でき、かつ最適な解決策を一緒に探してくれるため、安心して任せることができます。

契約前に明確な見積もりが提示されるため安心して検討できる

無料相談を経て、具体的な手続きを依頼する段階に進む際には、必ず事前に明確な見積もりが提示されます。
どのような業務にどれくらいの費用がかかるのかが詳細に記載されているため、後から想定外の費用を請求される心配がありません。

その場で契約を迫られることもなく、見積もりを持ち帰ってじっくり検討できるため、十分に納得したうえで依頼を判断できます。

まとめ

不動産相続における管理責任は、遺産分割協議が完了するまでは相続人全員にあり、完了後はその不動産を取得した相続人が負います。
管理には固定資産税や修繕費などの費用が伴い、その負担についても相続人間で明確な取り決めが必要です。
管理を怠ると、損害賠償責任や行政からのペナルティといったリスクが生じます。

管理者の選定が難しい場合や手続きに不安がある場合は、専門家へ相談することが問題解決の確実な一歩となります。

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