
親から実家を相続したものの、すでに持ち家があるため住む予定がない、というケースは少なくありません。
住まない家をどうすればよいか分からず、とりあえずそのままにしている方もいるかもしれません。
しかし、空き家を放置すると多くのリスクが生じます。
この記事では、相続した住まない不動産を放置するリスクと、売却や活用などの具体的な4つの選択肢について詳しく解説します。
空き家を相続した場合の活用方法や売却までの流れについては「空き家を相続したらどうする?固定資産税・活用・売却までの流れ」で詳しく紹介しています。
相続した家に住まないなら要注意!空き家のまま放置する3つのリスク

誰も住まない家を所有し続けることには、金銭的負担や近隣トラブルなど、さまざまなリスクが伴います。
特に遠方に住んでいる場合、家の管理は大きな負担となるため注意が必要です。
具体的にどのようなリスクがあるのか、家の所有者が知っておくべき3つの点を解説します。
空き家を所有するデメリット全般については「空き家所有のデメリット大全。固定資産税・火災保険・リスク一覧」で詳しく紹介しています。
固定資産税が最大6倍になる「特定空き家」に指定される恐れ
空き家を放置し、倒壊の恐れがあるなど周辺の生活環境に悪影響を及ぼすと判断された場合、自治体から「特定空き家」に指定される可能性があります。
特定空き家に指定されると、固定資産税の「住宅用地の特例」が適用されなくなり、税額が更地と同等になります。
その結果、土地にかかる固定資産税が最大6倍に跳ね上がるため、経済的な負担が大幅に増加します。
建物の老朽化で維持・管理の手間と費用がかかり続ける
人が住まない家は、換気が行われないことで湿気がこもり、急速に老朽化が進みます。
定期的な清掃や草むしり、小規模な修繕を怠ると、建物の傷みはさらに加速するでしょう。
たとえ住んでいなくても、建物を維持するためには光熱費や火災保険料、町内会費などの費用がかかり続けます。
また、将来的に売却や賃貸を考えた際に、老朽化が激しいと大規模なリフォームや解体が必要になり、多額の費用が発生する可能性もあります。
倒壊や景観悪化による近隣トラブルに発展する危険性
管理されていない空き家は、景観を損なうだけでなく、さまざまなトラブルを引き起こす原因となります。
庭の雑草が隣地に越境したり、害虫が発生したりするほか、不法投棄の標的になることも考えられます。
さらに、台風や地震で屋根瓦が飛散したり、老朽化によって建物が倒壊したりして近隣住民に被害を与えた場合、所有者として損害賠償責任を問われるリスクがあります。
住まない相続不動産をどうする?知っておきたい4つの選択肢

空き家を放置するリスクを避けるためには、早めに対策を検討することが重要です。
相続した家に今後も住む予定がない場合、主に4つの選択肢が考えられます。
それぞれの方法のメリット・デメリットを理解し、自身の状況や物件の状態に合った最適な手段を見つけましょう。
【選択肢1】売却して現金化する|最も一般的な方法
住まない不動産を処分する方法として、最も一般的で現実的なのが売却です。
売却すれば、固定資産税や維持管理費の負担から解放されるうえ、まとまった現金を手に入れられます。
相続人が複数いる場合は、売却代金を分割することで公平な遺産分割がしやすくなる点もメリットです。
建物が古い場合は「古家付き土地」として現状のまま売却する方法と、建物を解体して更地にしてから売却する方法があります。
まずは不動産会社に査定を依頼し、資産価値を把握することから始めるとよいでしょう。
【選択肢2】賃貸物件として貸し出し収益を得る
物件の立地条件が良く、賃貸の需要が見込める場合は、賃貸物件として貸し出すことで継続的な家賃収入を得る選択肢もあります。
ただし、人が住める状態にするためのリフォーム費用や、不動産会社への管理委託費用などが必要になる点がデメリットです。
また、入居者が見つからない空室リスクや、入居者とのトラブルが発生する可能性も考慮しなければなりません。
安定した収益を得るには、長期的な視点で事業計画を立てることが求められます。
【選択肢3】解体して駐車場経営などで土地活用する
建物を解体して更地にし、駐車場やトランクルーム、太陽光発電用地などとして活用する方法も考えられます。
特に、駅の近くや商業施設の周辺など、駐車場の需要が高いエリアであれば安定した収益が期待できます。
ただし、建物の解体費用や設備の初期投資が必要です。
また、建物を解体すると固定資産税の住宅用地特例が適用されなくなるため、税金の負担が増加する点も注意が必要です。
土地の立地や周辺環境を十分に調査したうえで検討することが大切です。
【選択肢4】相続土地国庫帰属制度で国に引き取ってもらう
売却や活用が難しく、引き取り手も見つからない土地については、「相続土地国庫帰属制度」を利用して国に引き取ってもらう方法があります。
この制度は、相続した不要な土地の所有権を国に移転できる仕組みで、2023年4月から始まりました。
ただし、建物がある土地や境界が不明確な土地、管理に多額の費用がかかる土地などは対象外となり、審査を通過する必要があります。
また、承認された場合でも、10年分の土地管理費相当額の負担金を納付しなければなりません。
不動産だけを相続放棄できる?手続きの期限と注意点を解説

相続財産の中に不要な不動産が含まれている場合、「この不動産だけを相続放棄したい」と考えるかもしれません。
しかし、特定の財産だけを選んで相続放棄することは制度上できません。
相続放棄を選択する際は、手続きの期限や注意点を正しく理解しておく必要があります。
相続放棄は3ヶ月以内に家庭裁判所への申述が必要
相続放棄とは、預貯金などのプラスの財産も、借金などのマイナスの財産も、すべての相続権を放棄する手続きです。
特定の不動産だけを放棄することはできず、一度手続きをすると撤回は原則として認められません。
手続きは、自身が相続人であることを知った時から3ヶ月以内に、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申述書を提出して行います。
この期限を過ぎると相続を承認したと見なされるため、迅速な判断が求められます。
注意!相続放棄をしても管理責任が残るケースとは
相続放棄をしても、すぐに不動産の管理責任から解放されるわけではない点に注意が必要です。
民法では、相続放棄をした者は「その放棄の時に相続財産に属する財産を現に占有しているときは、相続人又は相続財産清算人に対して当該財産を引き渡すまでの間、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産を保存しなければならない」と定められています。
つまり、次に財産を管理する人が決まるまでは、引き続き管理責任を負う可能性があるのです。
兄弟など複数人で相続した場合の注意点と解決策

不動産を兄弟など複数人で相続する場合、共有名義にすることはトラブルの元になりやすいため注意が必要です。
相続を機に関係が悪化することを避けるためにも、遺産分割協議で全員が納得できる方法を見つけることが大切です。
ここでは、共有名義のリスクと円満な解決策について解説します。
兄弟がいる場合の相続対策については「兄弟がいるご家庭にオススメ!家族が揉めない相続対策」で詳しく紹介しています。
共有名義は売却や活用が困難になりトラブルの原因に
不動産を法定相続分どおりに共有名義で相続すると、一見公平なようですが、将来的に多くの問題を引き起こす可能性があります。
例えば、その不動産を売却したり、賃貸に出したりするには共有者全員の同意が必要です。
一人でも反対する人がいると、何も決められず塩漬け状態になってしまいます。
また、共有者が亡くなるとその子どもへと権利が分散し、関係者が増えることでさらに権利関係が複雑化するリスクがあります。
遺産分割協議で「換価分割」を選び円満に解決する方法
共有名義のトラブルを避けるための有効な解決策が「換価分割」です。
換価分割とは、相続した不動産を売却して現金に換え、その現金を相続人間で分ける方法を指します。
物理的に分けられない不動産を、誰の不満も出にくい公平な形で分割できるのが最大のメリットです。
誰が不動産を取得するかで揉めることもなく、売却によって維持管理の負担からも解放されるため、円満な解決につながりやすい方法といえます。
相続不動産の悩みは専門家への無料相談が解決の近道
住まない不動産の相続には、税金や法律、登記といった専門的な知識が不可欠です。
売却、賃貸、相続放棄など、どの選択肢が最適かは個々の状況によって大きく異なります。
自己判断で進めてしまうと、後で思わぬトラブルに発展したり、損をしてしまったりする可能性があります。
少しでも不安や疑問があれば、まずは相続問題に詳しい司法書士や税理士、不動産会社などの専門家が実施している無料相談を活用し、客観的なアドバイスを求めることが解決への第一歩です。
相続に関する無料相談については「相続の無料相談窓口」で詳しく紹介しています。
住まない不動産の相続に関するよくある質問
ここでは、住む予定のない実家などの不動産を相続した際によく寄せられる質問にお答えします。
相続した家について、多くの方が疑問に思う点をまとめましたので、ご自身の状況と照らし合わせながら参考にしてください。
相続した家に誰も住まない場合、まず何から手をつければよいですか?
まずは不動産の資産価値を把握するため、複数の不動産会社に査定を依頼することから始めましょう。
実家の価値が分かれば、売却や賃貸など具体的な選択肢を客観的に検討しやすくなります。
同時に、今後その家をどうしたいか、相続人全員で話し合いの場を持つことが重要です。
誰が住むのか、売却するのかなど、早めに方向性を固めることで、スムーズな手続きにつながります。
売却と賃貸、どちらがおすすめですか?判断基準を教えてください。
不動産を現金化し、管理の手間や固定資産税の負担から解放されたい場合は「売却」が適しています。
一方、リフォーム費用などをかけてでも継続的な家賃収入を得たいのであれば「賃貸」が向いているでしょう。
物件の立地や築年数、建物の状態、周辺の賃貸需要などを総合的に考慮し、どちらがご自身の目的やライフプランに合っているかを判断基準にすることが大切です。
住まない不動産を相続した場合、確定申告は必要になりますか?
不動産を相続したという事実だけでは、確定申告は不要です。
確定申告が必要になるのは、その不動産を売却して利益(譲渡所得)が出た場合や、賃貸に出して年間20万円を超える家賃収入(不動産所得)を得た場合です。
ただし、相続税の課税対象となる場合は、相続の開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告と納税が必要になるため注意してください。
専門家に相談するなら知っておきたい3つのポイント
相続不動産に関する悩みを専門家に相談する際は、信頼できる相談先を選ぶことが重要です。
相談してから後悔しないために、事前に確認しておきたい3つのポイントを紹介します。
これらの点を比較検討し、ご自身に合った専門家を見つけましょう。
回数や時間に制限なく無料で相談できるか
相続の問題は複雑で、一度の相談だけでは疑問や不安が解消されないことも少なくありません。
そのため、相談先を選ぶ際には、相談回数や時間に制限がないか、あるいはご自身の状況に合った相談体制が整っているかを確認することが重要です。
納得できるまで親身に話を聞いてくれる専門家であれば、安心して悩みを打ち明けられます。
料金を気にせず、じっくりと相談できる体制が整っているかどうかが、最初のチェックポイントとなります。
土日祝日など都合の良い日時に対応してくれるか
相続手続きについて相談したい方の多くは、日中仕事をしているケースがほとんどです。
平日の昼間しか対応していない事務所では、相談のために仕事を休まなければならず、負担が大きくなります。
そのため、土日祝日や平日の夜間など、自分の都合の良い時間帯に相談の予約が取れるかどうかは重要なポイントです。
柔軟な対応をしてくれる専門家であれば、スケジュールを調整しやすく、スムーズに相談を進めることができます。
契約前に明確な見積もりを提示してくれるか
無料相談を経て、具体的な手続きを依頼する段階に進む際には、必ず事前に明確な見積もりを提示してくれるかを確認しましょう。
どのような手続きにいくらかかるのか、費用の内訳が詳細に記載されていることが重要です。
後から予期せぬ追加費用を請求されるといったトラブルを避けるためにも、料金体系が明瞭で、分かりやすく説明してくれる誠実な専門家を選ぶべきです。
提示された見積もりを持ち帰り、じっくり検討できるかどうかも確認しましょう。
まとめ:住まない相続不動産は放置せず、専門家と相談しながら最適な方法を選ぼう
相続した住まない実家などの不動産を放置すると、固定資産税の負担増大や近隣トラブルなど、多くのリスクが生じます。
そうした事態を避けるためには、売却、賃貸、土地活用、国庫帰属制度といった選択肢の中から、ご自身の状況に合った最適な方法を早期に検討することが重要です。
どの方法を選ぶべきか、また手続きをどう進めればよいか判断に迷う場合は、一人で悩まずに専門家へ相談しましょう。
専門家のアドバイスを参考にしながら、後悔のない選択をしてください。



