兄弟の相続放棄|まとめて手続きは?甥・姪への影響を司法書士が解説

兄弟の相続放棄|まとめて手続きは?甥・姪への影響を司法書士が解説

兄弟姉妹で親の借金を相続することになった場合、相続放棄を検討する方は少なくありません。
その際、「兄弟でまとめて手続きを進めたい」「自分が放棄すると甥姪に影響が及ぶのではないか」といった疑問が生じます。
この記事では、兄弟が相続放棄を行う際の具体的な手続きの流れ、必要書類、そして甥・姪への影響について詳しく解説します。


目次

兄弟姉妹が相続人になるのはどのような場合か

兄弟姉妹が法定相続人になるのは、相続の第1順位と第2順位の相続人が誰もいない場合です。
日本の民法では相続順位が定められており、亡くなった方に子がいる場合はその子供が第1順位の相続人となります。
子がいない場合は、親が第2順位の相続人です。

第1順位の子がおらず、すでに第2順位の親も亡くなっている場合に、初めて第3順位である兄弟姉妹に相続権が回ってきます。
また、上位の相続人である子供が全員相続放棄をした場合も、次の順位である親に相続権が移り、その親も放棄すると兄弟姉妹が相続人になります。

兄弟の相続放棄は全員まとめて手続きできる?

兄弟の相続放棄は全員まとめて手続きできる?

兄弟の相続放棄は、完全にまとめて一つの手続きで済ませることはできません。
相続放棄は、相続人1人1人の意思に基づいて行う必要があるため、家庭裁判所への申述は各自が個別に行うのが原則です。

ただし、兄弟が一緒に手続きを進めることで、一部の必要書類を共通で使えたり、専門家への依頼費用を抑えられたりするメリットがあります。
したがって、申述自体は個別に行うものの、準備段階では協力して効率的に進めることが可能です。

メリット:戸籍謄本などの必要書類を一部まとめて取得できる

兄弟が一緒に相続放棄の手続きを進める大きなメリットは、必要書類の一部をまとめて取得できる点です。
相続放棄では、亡くなった方(被相続人)の出生から死亡までの連続した戸籍謄本や、相続人全員の現在の戸籍謄本など、多くの書類が必要になります。
このうち、被相続人の戸籍や、兄弟姉妹に共通する親の戸籍謄本などは、1通取得すれば兄弟全員の手続きで使い回すことが可能です。

これにより、書類取得にかかる手数料や手間を大幅に削減できます。

注意点:相続放棄の申述は各人が個別に行う必要がある

兄弟で相続放棄を進める際の注意点は、家庭裁判所への申述は必ず各人が個別に行わなければならないことです。
相続放棄は個人の権利と意思に基づく重要な法律行為であるため、代表者がまとめて申述することは認められていません。
提出する相続放棄申述書も、兄弟一人ひとりが各自で署名・捺印する必要があります。

ただし、司法書士や弁護士に依頼すれば、書類作成や提出の代理をしてもらうことは可能です。
その場合でも、最終的な意思確認は各個人に対して行われます。

兄弟が相続放棄をするための手続きの流れと必要書類

兄弟が相続放棄を行う場合、手続きは大きく3つのステップに分かれます。
まず相続財産の全体像を把握するための調査を行い、次に家庭裁判所へ提出する必要書類を収集します。
最後に、相続放棄申述書を作成し、管轄の家庭裁判所へ提出するという流れで進みます。

これらの手続きは、原則として相続の開始を知った時から3ヶ月以内に行う必要があります。

手順1:相続財産の調査を行う

相続放棄を決定する前に、まず亡くなった方の遺産を正確に調査することが不可欠です。
調査対象には、預貯金、有価証券、土地や家といった不動産などのプラスの財産だけでなく、借金やローン、未払金、保証債務などのマイナスの負債も含まれます。
財産目録や不動産の登記情報、金融機関への照会などを通じて全体像を確認します。

この調査結果をもとに、相続するか放棄するかの最終的な判断を下します。
特に、後から多額の借金が判明することもあるため、慎重な確認が求められます。

手順2:必要書類(戸籍謄本など)を収集する

相続放棄の申述には、複数の公的書類が必要です。
一般的に、亡くなった方の住民票除票または戸籍附票と、死亡の記載がある戸籍謄本が必要となります。
加えて、申述人である兄弟姉妹自身の戸籍謄本も求められます。

亡くなった方が親の場合、その親の出生から死亡までの一連の戸籍謄本が必要になることもあります。
これらの書類は、本籍地や住所地の役所で取得します。
必要な戸籍の範囲は事案によって異なるため、事前に家庭裁判所や専門家に確認するとスムーズです。

手順3:家庭裁判所へ申述書を提出する

必要書類が揃ったら、相続放棄申述書を作成します。
この申述書と収集した戸籍謄本などの書類を、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ提出します。
提出は、裁判所の窓口へ持参する方法のほか、郵送でも可能です。

提出後、家庭裁判所から「照会書」という書類が送られてくるので、必要事項を記入して返送します。
手続きに問題がなければ、後日「相続放棄申述受理通知書」が交付され、相続放棄が正式に認められます。

【影響解説】兄弟が相続放棄をすると甥・姪が相続することになる?

【影響解説】兄弟が相続放棄をすると甥・姪が相続することになる?

兄弟が相続放棄を検討する際、最も心配されるのが「自分の子供、つまり甥や姪に相続権が移ってしまうのではないか」という点です。
相続には、相続人が先に亡くなっている場合にその子供が代わりに相続する「代襲相続」という制度がありますが、相続放棄のケースではこの制度の適用が問題となります。
結論から言うと、相続放棄によって甥や姪が相続することはありません。

結論:相続放棄をした場合、その子供(甥・姪)は代襲相続しない

相続放棄をした人は、法律上「初めから相続人ではなかった」とみなされます。
そのため、相続権そのものが消滅し、その人の子供が代わりに相続する「代襲相続」は発生しません。
例えば、親の遺産相続で兄が相続放棄をしても、兄の子供(甥や姪)が相続人になることはありません。

これは、相続放棄が個人の権利であり、その効果はその一身に限定されるためです。
したがって、自分の子供に迷惑がかかることを心配して相続放棄をためらう必要はありません。

兄弟全員が相続放棄したら借金は誰が負うのか

亡くなった方に子供がおらず、親もすでに他界しており、第3順位の相続人である兄弟姉妹が全員相続放棄をした場合、相続人が誰もいない状態になります。
この場合、親の借金などの負債がさらに遠い親戚に自動的に引き継がれることはありません。
利害関係者(債権者など)の申立てにより、家庭裁判所が「相続財産管理人」を選任します。

選任された管理人は、亡くなった方の財産を現金化し、そこから借金の返済などを行い、残った財産があれば国庫に帰属させる手続きを進めます。

亡くなったのが「自分の兄弟」の場合の相続放棄で気をつけるべき点

亡くなったのが親ではなく「自分の兄弟」の場合、相続放棄の手続きにおいて特有の注意点が存在します。
兄弟が亡くなったケースでは、自分が相続人であることを知るタイミングが遅れることが少なくありません。
そのため、相続放棄ができる3ヶ月の期間がいつから始まるのかを正確に把握することが重要になります。

特に疎遠だった兄弟の場合、死亡の事実を後から知ることも多く、対応が複雑になることがあります。

相続放棄できる期間(3ヶ月)はいつから数え始めるのか

相続放棄ができる期間は、原則として「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月間です。
兄弟が相続人になる場合、この起算点のタイミングが重要となります。
具体的には、自分より先順位の相続人(亡くなった兄弟の子や親)がいない、または全員が相続放棄した事実を知った時から3ヶ月を数え始めます。

単に兄弟が亡くなった日ではなく、自分が相続人になったと認識した時点から期間が進行するため、この点を正確に把握しておく必要があります。

疎遠だった兄弟の死亡を後から知った場合の対応

長年疎遠だった兄弟が亡くなり、その死亡の事実を後から知った場合でも、相続放棄は可能です。
この場合、3ヶ月の熟慮期間は、兄弟の死亡日ではなく、死亡の事実を知り、かつそれによって自分が相続人になったことを知った時から始まります。

例えば、金融機関や役所からの通知で初めて兄弟の死亡と借金の存在を知った場合、その通知を受け取った日が起算点となります。
期間の起算点を証明するために、その通知書などの客観的な証拠を保管しておくことが重要です。

兄弟のうち一人だけが相続放棄を選択した場合の影響

兄弟間で話し合った結果、全員ではなく一人だけが相続放棄を選択するケースもあります。
この場合、相続放棄をしなかった他の兄弟にいくつかの影響が及びます。
特に、相続する財産の割合が変わることや、後のトラブルを避けるためのコミュニケーションが重要になります。

相続放棄は個人の自由な権利ですが、その行使が他の共同相続人に与える影響を理解しておく必要があります。

他の兄弟が相続する財産の割合が増加する

兄弟のうち誰か一人が相続放棄をすると、その人は初めから相続人ではなかったとみなされます。
その結果、放棄した人の相続分は、残りの相続人である他の兄弟に法定相続分の割合に応じて分配されます。
例えば、兄弟3人が相続人で相続分が各3分の1だった場合、1人が放棄すると残りの2人の相続分はそれぞれ2分の1に増加します。

これはプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産にも適用されるため、相続放棄をしなかった兄弟の負担が増える可能性があります。

後のトラブルを防ぐために他の兄弟への連絡は必須

自分だけが相続放棄をする決断をした場合、その旨を他の兄弟へ事前に連絡しておくことが後のトラブルを避けるために極めて重要です。
連絡がないまま手続きを進めてしまうと、他の兄弟は相続分の割合が変わったことを知らないまま遺産分割の話し合いを進めてしまう可能性があります。

また、何も知らされずに相続する負債の割合が増えることになれば、兄弟間の感情的なしこりを生む原因にもなりかねません。
円満な関係を維持するためにも、事前の報告と相談が不可欠です。

兄弟の相続放棄に関するよくある質問

兄弟の相続放棄を検討する際には、さまざまな疑問や不安が生じることがあります。
特に、手続きの期限や費用、特殊なケースでの対応については多くの方が悩むポイントです。
ここでは、兄弟の相続放棄に関して寄せられることの多い質問に回答します。

もし複雑な事情がある場合は、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。

Q1. 相続開始を知ってから3ヶ月の期限を過ぎてしまったら、もう放棄はできませんか?

事情によっては、3ヶ月の期限を過ぎてしまっても相続放棄が認められる可能性があります。
例えば、亡くなった方と疎遠で財産の存在を全く知らず、最近になって債権者からの通知で多額の借金があることを初めて知った場合などです。

このように、期限内に放棄できなかったことに相当な理由があると家庭裁判所が判断すれば、申述が受理されることがあります。
ただし、個別の判断となるため、諦める前に専門家へ相談してください。

Q2. 兄弟全員でまとめて専門家に依頼すれば、費用を抑えられますか?

はい、費用を抑えられるケースが多いです。
司法書士や弁護士に兄弟全員でまとめて相続放棄手続きを依頼すると、1人ずつ個別に依頼するよりも割安になるのが一般的です。
これは、戸籍謄本の収集など、兄弟間で共通する作業を一度で済ませられるため、専門家の手間が省けるからです。

事務所によっては、複数人での依頼に対する割引プランを用意している場合もあるため、依頼時に確認してみるとよいでしょう。

Q3. 亡くなった兄弟の財産に手をつけてしまった場合、相続放棄は不可能ですか?

原則として相続放棄はできなくなります。
亡くなった方の預貯金を引き出して使ったり、不動産を売却したりするなど、遺産の一部でも処分する行為をした場合、相続する意思があるとみなされる「法定単純承認」が成立します。
この場合、後から借金が発覚しても相続放棄は認められません。

ただし、葬儀費用を遺産から支払うなど、社会通念上相当と認められる範囲の行為であれば、放棄が可能な場合もあります。

まとめ

兄弟姉妹が関わる相続放棄では、手続きは各自個別に行う必要がありますが、戸籍謄本などの必要書類を一部共通化することで効率的に進められます。
多くの方が心配する甥・姪への影響については、相続放棄をしても代襲相続は起こらないため、その子供たちが借金を負うことはありません。

亡くなったのが親か兄弟かによって3ヶ月の熟慮期間の起算点が異なる場合があるため注意が必要です。
もし手続きに不安がある場合や、期限を過ぎてしまったなどの事情がある場合は、専門家へ相談することをおすすめします。

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