【危険】相続を放置するとどうなる?後戻りできない8つのデメリット
遺産相続の手続きは複雑で、つい後回しにしがちですが、放置するとどうなるかご存知でしょうか。
何もしないでいると、意図せず借金を背負ったり、過料が科されたり、不動産の売却ができなくなったりする可能性があります。
この記事では、遺産相続を放置した場合に起こりうる8つの具体的なデメリットと、そうならないための対策を分かりやすく解説します。
相続手続きを放置するのは危険!まず知っておきたい手続きの期限一覧
相続手続きを放置するとどうなるかを考える上で、まず押さえるべきは各種手続きに定められた期限です。
特に重要なのが「相続放棄の熟慮期間(3ヶ月)」や「相続税の申告・納付期限(10ヶ月)」で、これらを過ぎると多額의借金を背負う、あるいは税金の優遇措置が受けられないといった事態に陥ることもあります。
相続が発生したら意識すべき主な手続きの期限をあらかじめ確認しておくことが重要です。

相続を何もしないで放置した場合に起こりうる8つのリスク
相続を何もしないとどうなるのか、具体的なリスクを見ていきましょう。
2024年からの法改正による過料(罰金)はもちろん、不動産が売れなくなったり、税金が大幅に増えたりと、金銭的・法的なデメリットは数多く存在します。
これらは時間が経つほど解決が困難になる傾向があります。
ここでは、特に深刻な影響を及ぼす8つのリスクについて、一つずつ詳しく解説します。
①【2024年4月から義務化】相続登記を怠ると10万円以下の過料(罰金)も
2024年4月1日から相続登記が義務化され、相続によって不動産を取得した相続人は、その取得を知った日から3年以内に相続登記の申請をしなければなりません。
正当な理由がないのに申請を怠った場合、10万円以下の過料が科される可能性があります。
この法改正は、過去に発生した相続も対象となるため、まだ名義変更をしていない不動産がある場合は注意が必要です。
所有者不明の土地問題を解消する目的で導入された制度であり、不動産を相続したすべての人に関わる重要な変更点です。

②不動産の名義変更をしないと売却や担保設定ができなくなる
被相続人名義のままになっている不動産は、法律上、自身の所有物であると第三者に対して主張できません。
そのため、その不動産を売却しようとしても買い手が見つからず、金融機関から融資を受ける際の担保に設定することも不可能です。
いざ不動産を現金化したい、あるいは活用したいと考えたときに、名義変更が済んでいないことが障壁となり、迅速な対応ができなくなります。
将来的な資産活用の選択肢を狭めないためにも、相続登記は速やかに行うべき手続きです。
③世代を重ねるごとに権利関係が複雑化し、子や孫に負担を残す
遺産相続の手続きを放置している間に、相続人の誰かが亡くなってしまうと、その人の相続人が新たに権利を引き継ぎます(数次相続)。
これを繰り返すと、相続権を持つ人がネズミ算式に増えていき、面識のない遠い親戚まで関係者になる可能性があります。
権利者が数十人に及ぶケースも珍しくありません。
そうなると、全員の合意を得て遺産分割協議をまとめるのは極めて困難になり、手続きにかかる時間も費用も膨大になります。
問題を先送りすることは、結果的に子や孫の世代に大きな負担を強いることにつながります。
④空き家のまま放置すると固定資産税が最大6倍に跳ね上がる恐れ
相続した家を誰も利用せず空き家のまま放置していると、自治体から「特定空家等」に指定される危険性があります。
特定空家に指定されると、固定資産税の軽減措置である「住宅用地の特例」が適用されなくなり、土地の固定資産税が最大で6倍に跳ね上がる可能性があります。
また、管理不全な空き家は倒壊の危険や景観の悪化などを招き、近隣トラブルの原因にもなりかねません。
相続した不動産の管理責任は相続人にあり、税負担の増加だけでなく、損害賠償責任を問われるリスクも考慮する必要があります。
⑤銀行口座が凍結され預貯金の引き出しや各種支払いができなくなる
金融機関は、口座名義人の死亡を知った時点でその口座を凍結します。
これは、一部の相続人による無断の引き出しを防ぎ、遺産相続のトラブルを避けるための措置です。
口座が凍結されると、預金の引き出しはもちろん、家賃や公共料金などの自動引き落としもすべて停止してしまいます。
凍結を解除するには、原則として相続人全員の同意を示す遺産分割協議書や戸籍謄本などの書類が必要です。
手続きを放置すると、葬儀費用や残された家族の生活費の支払いに困る事態になりかねません。
⑥【3ヶ月の期限】相続放棄の手続きをしないと多額の借金を背負うことに
遺産相続では、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金やローンなどのマイナスの財産も引き継がれます。
もしマイナスの財産の方が多い場合、「相続放棄」という選択肢があります。
しかし、相続放棄は原則として「自己のために相続의開始があったことを知った時から3ヶ月以内」に家庭裁判所で手続きをしなければなりません。
この期間を過ぎると、すべての財産を無条件で相続する「単純承認」をしたとみなされ、被相続人の借金を全額返済する義務を負うことになります。
財産調査を怠ると、予期せぬ多額の負債を抱える危険があります。
⑦【10ヶ月の期限】相続税の申告が遅れると延滞税や無申告加算税が発生
遺産相続の総額が基礎控除額を超える場合、相続税の申告と納付が必要です。
この期限は「被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内」と定められています。
申告が期限に間に合わないと、ペナルティとして「無申告加算税」が課されます。
また、納付が遅れた日数に応じて「延滞税」も発生し、納税額が増加してしまいます。
もし意図的に財産を隠すなど悪質と判断された場合には、さらに税率の高い「重加算税」が課されることもあります。
納税義務がある場合は、期限内の申告・納付が不可欠です。
⑧配偶者控除や小規模宅地等の特例が使えず納税額が増える
相続税には、納税者の負担を軽減するための様々な特例制度があります。
代表的なものに「配偶者の税額軽減」や、被相続人の自宅や事業用の土地の評価額を大幅に減額できる「小規模宅地等の特例」があります。
これらの特例を適用することで、相続税額をゼロにできるケースも少なくありません。
しかし、これらの有利な制度を利用するためには、原則として相続税の申告期限内に遺産分割協議を終え、申告書を提出することが必須条件です。
遺産相続の手続きを放置し期限を過ぎると、特例が使えず、本来よりはるかに高額な税金を納めることになります。

相続手続きを放置しないための具体的な4つのステップ
ここまで見てきたようなリスクを回避するためには、計画的に遺産相続の手続きを進めることが重要です。
何から手をつければ良いかわからないという方のために、ここからは相続発生後に行うべき具体的な手順を4つのステップに分けて解説します。
この流れに沿って進めることで、複雑な遺産相続の手続きを整理し、期限内に完了させることができます。
ステップ1:まずは相続財産の全体像を把握する
遺産相続の第一歩は、被相続人がどのような財産をどれだけ所有していたかを正確に把握することです。
預貯金や不動産、株式といったプラスの財産だけでなく、借入金や未払金などのマイナスの財産もすべて調査の対象となります。
通帳や権利証、郵便物などを手掛かりに情報を集め、一覧にした「財産目録」を作成しましょう。
この作業によって財産の全体像が明らかになり、相続税申告の要否や、相続放棄を検討すべきかどうかの判断材料になります。
正確な財産調査が、その後の遺産相続手続きを円滑に進めるための土台となります。
ステップ2:誰が相続人になるのかを戸籍謄本で確定させる
財産調査と並行して、誰が法的な相続人になるのかを確定させる作業が必要です。
これは、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本等を取り寄せて確認します。
家族の認識では相続人が明らかだと思っていても、前の結婚での子供や認知した子など、把握していない相続人が存在する可能性もゼロではありません。
もし一人でも相続人が漏れていると、その後に作成した遺産分割協議書は無効になってしまいます。
後のトラブルを防ぐためにも、戸籍に基づいた正確な相続人調査は、遺産相続において不可欠な手続きです。
ステップ3:相続人全員で遺産分割協議を行う
相続人が複数いる場合、法定相続分とは異なる割合で財産を分けるためには、相続人全員での話し合い(遺産分割協議)が必要です。
ステップ1と2で確定した財産と相続人をもとに、誰がどの遺産をどのように引き継ぐかを具体的に決定します。
協議がまとまったら、後々のトラブルを防ぐために、合意内容を「遺産分割協議書」として書面に残し、相続人全員が署名・捺印します。
この遺産分割協議書は、不動産の相続登記や預貯金の解約といった、その後の遺産相続手続きで必要となる重要な書類です。
ステップ4:期限内に各種手続き(名義変更・申告)を完了させる
遺産分割協議が完了したら、その内容に従って各財産の名義変更手続きを進めます。
具体的には、法務局での不動産の相続登記、金融機関での預貯金の解約や名義変更、証券会社での株式の名義書換などです。
これらの手続きには、戸籍謄本や遺産分割協議書、印鑑証明書など多くの書類が必要となります。
また、相続税の申告義務がある場合は、被相続人の死亡を知った日の翌日から10ヶ月という期限内に、税務署への申告と納税を必ず済ませなければなりません。
すべての遺産相続手続きを期限内に完了させることが最終目標です。
例外的に相続手続きを急がなくても良いケースとは?
これまで相続手続きを放置するリスクを解説してきましたが、状況によっては手続きを急ぐ実益(メリット)が少ないケースも存在します。
例えば、相続人が一人だけであったり、相続財産がごくわずかであったりする場合です。
ただし、これらのケースでも相続登記の義務化など注意すべき点はあります。
ここでは、例外的に手続きを急がなくても大きな問題になりにくい状況について解説します。
相続人が一人だけで借金もない場合
相続人が一人しかいない場合、遺産分割で他の相続人と揉める心配がありません。
そのため、遺産分割協議書を作成する必要がなく、手続きが比較的シンプルに進むというメリットがあります。
また、被相続人に借金などの負債がなければ、3ヶ月以内に相続放棄を急ぐ必要もありません。
ただし、相続財産に不動産が含まれる場合は、相続登記の義務化により3年以内の名義変更が必要です。
預貯金を引き出す際にも、戸籍謄本などを揃えて金融機関で手続きを行うため、完全に何もしなくて良いわけではない点には注意が求められます。
相続財産が基礎控除額以下で相続税がかからない場合
相続財産の総額が、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を下回る場合、相続税はかからず、税務署への申告も原則として不要です。
この場合、10ヶ月という申告期限を気にする必要がないため、精神的な負担が軽減されるメリットがあります。
ただし、これはあくまで相続税に関する話です。
相続財産に不動産があれば名義変更は必要ですし、預貯金を引き出す手続きも別途行わなければなりません。
相続税がかからないからといって、すべての相続手続きが不要になるわけではないことを理解しておく必要があります。
相続手続きで困ったときの相談先はどこ?専門家と費用を解説
遺産相続の手続きは専門的な知識が求められる場面も多く、自分たちだけで進めるのが難しいと感じることもあるでしょう。
そんなときは、専門家の力を借りるのが賢明です。
ただし、相談内容によって頼るべき専門家は異なります。
ここでは、遺産相続の悩みごとにおすすめの相談先と、それぞれの専門家が対応できる業務範囲、費用の目安について解説します。
遺産分割で揉めているなら「弁護士」
相続人同士の話し合いがまとまらない、特定の相続人が遺産分割に協力してくれないなど、遺産相続に紛争が生じている場合の相談先は弁護士です。
弁護士は、依頼者の代理人として他の相続人と交渉したり、家庭裁判所での調停や審判の手続きを進めたりすることができます。
法律に基づいた交渉や法的手続きの代理は弁護士の独占業務であり、他の専門家にはできません。
費用は着手金や成功報酬が必要となるケースが多いですが、法的なトラブルに発展してしまった、あるいはその恐れがある状況では最も頼りになる存在です。
不動産の名義変更(相続登記)なら「司法書士」
遺産相続に不動産が含まれている場合、その名義変更手続き(相続登記)を依頼する専門家は司法書士です。
司法書士は登記のプロフェッショナルであり、複雑な相続登記申請を正確かつ迅速に行ってくれます。
また、登記に必要となる戸籍謄本の収集代行や、遺産分割協議書の作成サポートなども依頼可能です。
相続人間で特に争いごとはなく、煩雑な書類作成や法務局への申請手続きをスムーズに進めたい場合に最適な相談先です。
費用は、不動産の評価額や手続きの難易度によって変動します。
相続税の申告が必要なら「税理士」
相続財産の評価額が基礎控除を超え、相続税の申告・納付が必要になる場合は、税理士に相談しましょう。
税理士は税金の専門家であり、特に土地などの不動産の評価は専門知識がなければ難しく、評価額によって納税額が大きく変わることもあります。
税理士に依頼すれば、各種特例を最大限活用した適切な申告書の作成を任せることができ、節税につながる可能性もあります。
また、申告後に行われることがある税務調査の際にも、代理人として対応を依頼できるため安心です。
遺産相続における税務面での強力な味方となります。

相続の放置に関するよくある質問
最後に、遺産相続の放置に関して、多くの方が疑問に思う点についてQ&A形式でお答えします。
2024年4月から始まった相続登記の義務化の詳細や、他の相続人が手続きに協力してくれない場合の対処法、財産の調査方法など、具体的な悩みを解決するためのヒントをまとめました。
ご自身の状況と照らし合わせながら確認してください。
相続登記の義務化はいつから始まった?過去の相続も対象になる?
2024年4月1日から始まり、それ以前の相続も対象です。
この日より前に相続した不動産で、まだ登記がされていないものも義務化の対象となります。
過去の相続については施行日から3年の猶予期間があり、2027年3月31日までに登記を申請する必要があります。
他の相続人が協力してくれない場合はどうすればいい?
家庭裁判所の遺産分割調停を利用するか、弁護士に交渉を依頼するのが有効です。
当事者間での解決が困難な場合、調停委員が間に入ることで話し合いが進展する可能性があります。
また、弁護士に依頼し、代理人として法的な観点から交渉してもらう方法もあります。
相続財産がプラスかマイナスかわからない時はどう調査する?
財産調査を行い、3ヶ月以内に結論が出なければ「相続放棄の期間伸長」を申し立てます。
預貯金や不動産だけでなく、信用情報機関への情報開示請求で借金の有無も確認します。
調査に時間がかかる場合は、家庭裁判所に期間の延長を求めることで、慎重に判断できます。
まとめ
相続手続きの放置は、過料や追徴課税といった金銭的な不利益だけでなく、不動産の売却ができない、権利関係が複雑化するといった将来にわたる問題を引き起こします。
特に、2024年4月から始まった相続登記の義務化、3ヶ月以内に行うべき相続放棄の判断、10ヶ月以内の相続税申告は、必ず意識すべき重要な期限です。
相続は、財産を引き継ぐだけでなく、法的な義務や責任も伴う手続きです。
もし手続きの進め方に不安がある、あるいは相続人間で話し合いがまとまらないといった場合には、問題が深刻化する前に弁護士や司法書士などの専門家へ相談することが、問題を解決する上で有効です。


