相続放棄、何もしていないけど大丈夫?相続直後に放置しがちな落とし穴

相続放棄、何もしていないけど大丈夫?相続直後に放置しがちな落とし穴

親族が亡くなった後、悲しみや多忙から相続手続きを何もしていない方もいるかもしれません。
しかし、財産も借金も自動的に引き継ぐ「単純承認」とみなされるリスクがあります。
特に借金がある場合、放置すると自身の財産で返済義務を負うことになります。

この記事では、相続放棄をしないことのリスクや、期限を過ぎてしまった場合の対処法を解説します。

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目次

【結論】相続を「何もしていない」状態は危険!

相続開始後に何も手続きをしない状態は、非常に危険です。
まず、気づかないうちに多額の借金を背負ってしまう可能性があります。
次に、本来であれば受け取れたはずのプラスの財産も、他の相続人に勝手に使われてしまうかもしれません。

さらに、遺産分割協議が進まず、他の親族との間でトラブルに発展する恐れもあります。
これらのリスクを避けるためにも、早期の対応が重要です。

「財産はいらない」と伝えるだけでは危険!

他の相続人に対して「私は財産をもらわない」と口頭や念書で伝えるだけでは、法的な相続放棄にはなりません。
これは「相続分の放棄」と呼ばれ、プラスの財産を受け取らない意思表示に過ぎず、借金などのマイナスの財産に対する返済義務は残ったままです。
法的に借金の返済義務を免れるためには、家庭裁判所で「相続放棄の申述」という手続きを行う必要があります。

この手続きを経ないと、後から債権者に返済を求められた際に拒否できません。
遺産分割協議で財産を何ももらえなかったとしても、法的な手続きをしなければ借金は引き継いでしまうのです。

相続放棄の期限は原則3ヶ月!いつからカウントが始まるのか解説

相続放棄の手続きには、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3ヶ月以内」という期限が設けられています。
この期間は「熟慮期間」と呼ばれ、この間に相続財産を調査し、相続するか放棄するかを決定しなければなりません。
一般的には、被相続人が亡くなった事実を知った日が起算点となります。

ただし、自身が相続人であることを知らなかった場合などは、その事実を知った日から3ヶ月となります。
この期間内に家庭裁判所への申述が必要で、期限を過ぎると原則として相続を承認したとみなされるため、注意が必要です。


3ヶ月の期限を過ぎても大丈夫!相続放棄が認められる4つのケース

原則として相続放棄の期限は3ヶ月ですが、この期間を過ぎてしまっても諦める必要はありません。
「3ヶ月以内に相続放棄をしなかったことに相当な理由がある」と家庭裁判所が認めれば、期限後でも申述が受理される可能性があります。

例えば、故人と疎遠で死亡의事実を長期間知らなかった場合や、相続財産が全くないと信じていたのに後から多額の借金が発覚した場合などが該当します。
以下で具体的なケースを見ていきましょう。

ケース1:最近になって多額の借金の存在を知った

被相続人にプラスの財産が全くないと信じており、借金もないと思っていたため、特に相続手続きをしなかったケースです。
このような状況で、相続開始から3ヶ月以上経過した後に、債権者からの督促状などで初めて多額の借金の存在を知った場合、相続放棄が認められる可能性があります。
この場合、「借金の存在を知った時から3ヶ月以内」に手続きを行う必要があります。

ただし、故人と同居していたなど、借金の存在を知り得たはずの状況であったと判断されると、認められないこともあります。

ケース2:相続財産の調査に時間がかかってしまった

相続財産が全国に点在していたり、非常に複雑であったりして、3ヶ月の熟慮期間内ではプラスの財産とマイナスの財産の全容を把握することが困難な場合があります。
このような正当な理由により調査に時間がかかり、期間内に相続放棄の判断ができなかったと裁判所が認めれば、期限後の申述が受理されることがあります。

この場合、なぜ調査に時間がかかったのかを具体的に説明する上申書などの提出が必要です。
明らかに調査を怠っていたと判断されると認められないため、注意が求められます。

ケース3:先順位の相続人が放棄したことを知らなかった

相続には優先順位があり、第一順位の相続人が全員相続放棄をすると、次の順位の相続人に相続権が移ります。
しかし、先順位の相続人が放棄したという連絡がなく、自身が相続人になったことを知らなかった場合、熟慮期間は進行しません。

この場合、自身が相続人になったことを知った時から3ヶ月以内であれば、相続放棄の申述が可能です。
親族間での連絡が密でない場合は、このような状況が起こり得ます。

ケース4:故人と疎遠で死亡の事実を知らなかった

被相続人と長年交流がなく、遠方に住んでいるなどの理由で、死亡の事実そのものを知らなかったケースです。
この場合、相続放棄の熟慮期間は「自己のために相続の開始があったことを知った時」、つまり被相続人の死亡の事実を知った時からカウントが始まります。

したがって、死亡から数年が経過していても、死亡의事実を知ってから3ヶ月以内であれば、相続放棄の手続きは可能です。
ただし、周りの親族からの連絡を意図的に無視するなど、知ることができたはずの状況で何もしないでいたと判断されると、認められない可能性もあります。


リスク、注意点

注意:知らないうちに借金を背負う?「単純承認」と見なされる行為

相続放棄を検討している場合、特定の行動を取ると、財産も借金もすべて引き継ぐ意思があるとみなされる「単純承認」が成立してしまうことがあります。
単純承認が成立すると、原則として相続放棄はできなくなります。
特に相続財産を処分する行為は注意が必要です。

具体的にどのような行動が単純承認にあたるのかを知り、意図せず借金を背負う事態を避けましょう。

故人の預貯金を引き出して使ってしまった

故人の預貯金口座から現金を引き出し、葬儀費用や墓石代など、被相続人のための支払いに充てることは社会通念上許容されることが多いです。
しかし、引き出した現金を自身の生活費に使ったり、自分の借金返済に充てたりすると、相続財産を処分したとみなされ、単純承認が成立します。

この場合、相続の意思ありと判断され、相続放棄は認められなくなります。
預貯金の取り扱いには細心の注意を払い、使途が明確な領収書などを必ず保管しておくことが重要です。

不動産や自動車の名義を自分に変更した

故人が所有していた家や土地などの不動産、あるいは自動車の所有者名義を、自分の名前に変更する行為は、典型的な単純承認とみなされます。
これは、その財産を自分が相続するという意思を明確に示した行為と判断されるためです。
名義変更手続きを行ってしまうと、その後に多額の借金が発覚したとしても、原則として相続放棄は認められません。

また、故人の家を取り壊したり、売却したりする行為も同様に相続財産の処分にあたるため、絶対に行わないでください。

遺産分割協議書に署名・捺印した

遺産分割協議は、相続人全員で遺産の分け方を話し合う手続きです。
この協議の内容をまとめた「遺産分割協議書」に署名・捺印する行為は、自分が相続人であることを認め、相続に参加する意思を示したことになります。
たとえ協議書の中で自分が財産を一切取得しないという内容になっていたとしても、署名・捺印した時点で単純承認が成立し、相続放棄はできなくなります。

借金の存在が不明な段階では、安易に遺産分割協議書にサインしないよう注意が必要です。

他の相続人が何もしてくれない…遺産分割が進まない時の対処法

自分が手続きを進めようとしても、他の相続人が協力してくれなかったり、連絡が取れなかったりして、遺産分割が進まないケースは少なくありません。
例えば、故人の子である兄弟姉妹間で意見が対立したり、疎遠になったりしている場合です。
このような状況を放置すると、不動産の名義変更や預貯金の解約ができず、トラブルが長期化する恐れがあります。

法的な手続きを利用して解決する方法を検討しましょう。

家庭裁判所に相続放棄の状況を照会する方法

他の相続人が相続放棄をしたかどうか不明な場合、自分に借金の返済義務が回ってくる可能性があり、不安な状況になります。
このような場合、家庭裁判所に対して「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会」を申請することで、他の相続人の手続き状況を確認できます。
この照会を行うには、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に、申請書や戸籍謄本などの必要書類を提出することが必要です。

これにより、次の対応をどうすべきか判断する材料を得られます。

連絡が取れない相続人がいる場合は遺産分割審判を申し立てる

相続人の中に連絡が取れない人や、話し合いに応じない人がいて遺産分割協議ができない場合、家庭裁判所に「遺産分割調停」または「遺産分割審判」を申し立てることができます。
調停は話し合いでの解決を目指す手続きですが、相手方が裁判所に来ない場合は不成立となり、自動的に審判手続きに移行します。

審判では、裁判官が各相続人の事情や法律に基づき、遺産の分割方法を決定します。
この手続きには、戸籍謄本や財産目録など、多くの書類の準備が必要です。

手続き完了後も油断禁物!相続放棄が無効になるNG行動

家庭裁判所で相続放棄の申述が正式に受理された後でも、特定の行動を取ると放棄が無効になってしまう可能性があります。
相続放棄をした人は、その相続に関して初めから相続人ではなかったものとみなされます。
したがって、故人の財産に一切関与してはいけません。

もし故人の財産を自分のものにしたり、不当に処分したりすると、債権者を害する行為とみなされ、トラブルに発展する恐れがあります。

故人の財産を隠したり自分のものにしたりする

相続放棄の手続きが完了した後に、故人の財産の存在を知りながら、それを隠したり、こっそり自分のものにしたりする行為は絶対にしてはいけません。
これは民法で「背信的行為」と定められており、相続放棄の効果が覆される可能性があります。

たとえ少額の財産であっても、このような行為が発覚すると、債権者から返済を求められた際に相続放棄の有効性を主張できなくなる恐れがあります。
相続放棄をした以上、故人の財産には一切手を付けないという意識を徹底することが重要です。

故人の債権者から督促されて一部を支払ってしまう

相続放棄が受理されると、家庭裁判所から「相続放棄申述受理通知書」が届きます。
もし故人の債権者から借金の返済を求める督促が来た場合は、この通知書のコピーを提示し、相続放棄した事実を伝えれば支払う義務はありません。
ここで情にほだされたり、強硬な態度に屈したりして、たとえ一部でも故人の借金を支払ってしまうと、借金の存在を承認したとみなされる可能性があります。

自身の財産から支払いをしないように注意してください。
債権者への対応に困った場合は、弁護士などの専門家に相談するのが賢明です。

相続放棄をしても空き家の管理責任が残る場合がある

相続放棄をすれば、すべての責任から解放されると考えるかもしれません。
しかし、注意が必要なのが不動産の管理責任です。
2023年4月の民法改正により、相続放棄をした人は、放棄時に占有していた相続財産を、次の相続人または相続財産清算人に引き渡すまでの間、保存する義務を負うことになりました。

例えば、故人の家に住んでいた相続人が相続放棄をした場合、その家が原因で他人に損害を与えれば、損害賠償責任を問われる可能性があります。
空き家など管理が必要な財産がある場合は、相続財産清算人の選任を申し立てるなどの対応を検討する必要があります。


FAQ

相続放棄に関するよくある質問

ここまで相続放棄について解説してきましたが、まだ個別の疑問が残っている方もいるかもしれません。
例えば、親である被相続人が亡くなってからかなりの時間が経過してしまった場合や、遺産分割協議書での取り決めの効力についてなどです。
ここでは、相続放棄に関して特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。

故人の子や親族として、自身の状況と照らし合わせながら確認してください。

Q1. 親が亡くなって1年以上経ちますが、今からでも相続放棄できますか?

可能です。
相続放棄の期限は「相続の開始があったことを知った時から3ヶ月」です。
そのため、親の死亡を最近知った場合や、最近になって多額の借金の存在を知った場合など、相当な理由があれば1年以上経過していても相続放棄が認められる可能性があります。

Q2. 遺産分割協議書に「財産を相続しない」と書けば借金も免除されますか?

免除されません。
遺産分割協議書は相続人間の財産の分け方を決めるもので、債権者に対して効力はありません。
借金の返済義務を法的に免れるためには、家庭裁判所で相続放棄の申述手続きを行う必要があります。

この手続きを経なければ、返済義務は残ります。

Q3. 相続放棄をしたら、故人の形見分けも一切できなくなるのでしょうか?

経済的価値がほとんどない写真や手紙、衣類といった一般的な形見分けであれば、相続放棄に影響しないとされています。
しかし、貴金属や骨董品など高価なものをもらうと財産の処分とみなされ、相続放棄ができなくなる恐れがあります。
判断に迷うものはもらえないと考えておきましょう。

まとめ

相続発生後に何もせず放置することは、意図せず多額の借金を背負うなど、多くのリスクを伴います。
相続放棄の期限は原則3ヶ月ですが、借金の存在を後から知った場合など、正当な理由があれば期限後でも手続きが認められる可能性があります。
また、故人の子など相続人であっても、遺産分割協議で財産を受け取らないと決めるだけでは法的な放棄にはなりません。

相続放棄をした後も、管理していた家などの財産については一定の責任が残る場合があります。
自身の状況を正確に把握し、必要であれば速やかに専門家へ相談することが問題解決につながります。

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