相続した不動産が売れない!納税資金がない時の5つの対処法

相続した不動産が売れない!納税資金がない時の5つの対処法

相続した不動産、特に売れない土地などを抱え、相続税の納税資金が用意できずに悩むケースは少なくありません。
納税は原則として現金一括払いが求められ、期限は相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内です。
この記事では、不動産が売れない場合の公的制度の活用、売却の工夫、そして最終的な手放し方まで、5つの具体的な対処法を解説します。

目次

なぜ相続した不動産は売れないのか?考えられる主な理由

相続した不動産が売れない原因として、まず立地条件の悪さや、建物の著しい老朽化、接道義務を果たしていない再建築不可物件といった物理的な問題が挙げられます。
また、共有名義で相続人間の意見がまとまらない、土地の境界が未確定でトラブルを抱えているなど、権利関係の複雑さも売却を困難にする要因です。
特に地方の土地や古いマンションは買い手からの需要が低く、売れ残りやすい傾向にあります。

放置は危険!売れない不動産を所有し続ける4つのリスク

売れないからといって不動産をそのまま放置すると、金銭的な負担が増えるだけでなく、さまざまなトラブルに発展する可能性があります。
固定資産税の支払いはもちろん、資産価値の下落や管理責任など、所有者には多くのリスクが伴います。

不動産を所有し続けることで生じる具体的な4つのリスクについて解説します。

リスク1:固定資産税や管理費が継続的に発生する

不動産を所有している限り、毎年固定資産税や都市計画税が課税されます。
マンションの場合は、それに加えて管理費や修繕積立金の支払いも必要です。
これらの費用は不動産を利用していなくても発生し続け、長期化すれば大きな経済的負担となります。

特に収益性が低い不動産の場合、維持費が収益を上回り、所有しているだけで赤字となる「負動産」の状態に陥りかねません。

リスク2:資産価値がさらに下落する可能性がある

不動産の価値は永続的ではありません。
特に人口減少が進む地域では土地の需要が減り、資産価値は下落していく傾向にあります。
また、建物は経年劣化により価値が下がります。

適切な管理を怠れば劣化はさらに進み、いざ売却しようとした時には、現在よりも低い価格でしか売れなくなってしまう可能性があります。
売却のタイミングを逃すと、損失が拡大することも考えられます。

リスク3:建物の老朽化による倒壊や近隣トラブルの危険

空き家を放置して老朽化が進むと、屋根や外壁が崩れ落ちて近隣住民に被害を与えたり、不法投棄や放火の標的になったりする危険性が高まります。
万が一、倒壊などで他人に損害を与えた場合、所有者として損害賠償責任を問われることになります。
また、自治体から「特定空き家」に指定されると、行政指導や過料、最終的には行政代執行の対象となる場合もあります。

リスク4:次の世代へ問題を引き継いでしまう

売れない不動産の問題を解決しないままにしておくと、将来自身が亡くなった際に、その負担を子どもや孫の世代に引き継がせることになります。
問題を先送りにすることで、権利関係がさらに複雑化したり、不動産の価値がより一層下落したりする可能性も否定できません。
負の遺産を残さないためにも、自身の代で問題を解決しておくことが望ましいです。

【対処法1】相続税の支払いが困難な場合の公的救済制度

相続税の納税資金がどうしても用意できない場合、国が定める救済制度を利用できる可能性があります。
代表的なものに、分割で支払う「延納」と、不動産そのもので納税する「物納」があります。
ただし、どちらも利用するには一定の要件を満たす必要があり、誰でも無条件に認められるわけではない点に注意が必要です。

分割で支払う「延納」を申請する

延納は、相続税を一括で納付することが難しい場合に、年賦で分割払いできる制度です。
利用するには、納付すべき税額が10万円を超えていること、金銭で納付することを困難とする理由があること、そして延納税額に見合う担保を提供することが原則として必要になります。

延納期間中は利子税がかかる点にも注意が必要です。
申請は、相続税の申告期限までに税務署へ行わなければなりません。

不動産そのもので納税する「物納」を検討する

物納は、延納によっても金銭で納付することが困難な場合に、不動産などの特定の財産で直接税金を納める制度です。
ただし、物納は最終手段と位置づけられており、申請すれば必ず認められるものではありません。

物納できる財産には優先順位があり、管理や処分が難しい不動産(境界が不明確、共有状態など)は不適格と判断され、認められないケースが多いのが実情です。

【対処法2】金融機関から納税資金を借り入れる

延納や物納の要件を満たさない場合や、延納の利子税よりも低い金利で借りられる場合には、金融機関の納税資金ローン(相続税ローン)を利用するのも一つの方法です。
これにより、不動産を慌てて安値で売却する事態を避けられます。

ただし、当然ながら返済義務と利息が発生するため、借入後の返済計画を慎重に立てる必要があります。
金融機関による審査もあり、誰でも利用できるわけではありません。

【対処法3】売却の可能性を高める3つの工夫

単に不動産会社に仲介を依頼するだけでは、売れない不動産を現金化するのは難しいかもしれません。
少し視点を変え、売却の方法を工夫することで、買い手が見つかる可能性が高まります。
ここでは、売却して納税資金を得るための3つの具体的な工夫について解説します。

仲介ではなく「不動産買取」で早期現金化を目指す

不動産買取は、不動産会社が直接買主となって物件を買い取る方法です。
一般の買い手を探す「仲介」と比べて、売買契約がスピーディーに進み、短期間で現金化できる点が最大のメリットです。
相続税の納税期限が迫っている場合に有効な手段といえます。

ただし、買取価格は市場価格の7割から8割程度になるのが一般的で、仲介で売却するよりも手元に残る資金は少なくなる傾向があります。

古家付きの場合は解体して更地にすることも検討する

建物が古い、状態が悪いといった理由で売れない場合、建物を解体して更地として売り出す方法も有効です。
買い手は自由に建物を建てられるため、購入後の活用イメージがしやすくなり、買い手の層が広がります。
一方で、解体には数百万円単位の費用がかかるほか、住宅用地の特例が適用されなくなり、固定資産税が高くなる可能性がある点には注意が必要です。

隣地の所有者に購入を打診してみる

一般の買い手には魅力がなくても、隣地の所有者にとっては価値のある土地かもしれません。
隣地と一体化することで土地の形が整ったり、敷地が広がって大きな建物を建てられるようになったりするなど、活用価値が高まるためです。

市場価格での売却は難しいかもしれませんが、直接交渉することで売却できる可能性があります。
まずは不動産会社を通じて、購入の意向があるか打診してみるとよいでしょう。

納税資金や不動産処分のお悩みは専門家への無料相談が解決の近道

相続不動産の売却や納税資金の問題は、税務、不動産、法律など幅広い知識が求められます。
どの方法が最適かは個々の状況によって大きく異なるため、一人で悩まずに相続に詳しい税理士や不動産会社、司法書士などの専門家に相談することが、問題解決への一番の近道です。
多くの専門家が無料相談を実施しているため、まずは現状を伝え、専門的な見地からのアドバイスを求めることをおすすめします。

【対処法4】売却以外の方法で不動産を手放す

どうしても買い手が見つからず、所有し続けることも困難な場合、売却以外の方法で不動産を手放す選択肢も存在します。
近年創設された国の制度や、寄付といった方法が考えられます。
ただし、これらの方法も一定の条件や費用が必要となるため、最終手段として検討すべきです。

ここでは、売らずに土地を手放す方法について解説します。

国に土地を引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」とは?

相続土地国庫帰属制度は、相続または遺贈によって取得した不要な土地の所有権を、国に引き渡すことができる制度です。
利用するには、建物がない更地であること、担保権が設定されていないこと、境界が明確であることなど、多くの要件をクリアする必要があります。
また、審査手数料と、土地の性質に応じた10年分の標準的な管理費用(負担金)を納付しなければなりません。

自治体や条件の合う法人への寄付を検討する

自治体や法人などに土地を寄付する方法もあります。
しかし、自治体は活用見込みのない土地の寄付はほとんど受け付けていないのが現状です。

公共施設を建設する計画があるなど、明確な利用目的がある場合に限られます。
同様に、民間企業やNPO法人なども、利用価値がなければ寄付を受け入れることは稀です。
まずは受け入れの可能性があるか、事前に問い合わせてみる必要があります。

【対処法5】最終手段としての「相続放棄」も視野に入れる

不動産の処分が進まず、固定資産税などの負担が預貯金などのプラスの財産を上回る「債務超過」の状態にある場合、相続放棄も選択肢の一つとなります。相続放棄とは、プラスの財産もマイナスの財産もすべて受け継がない手続きです。この手続きは、自分が相続人であることを知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述する必要があり、一度放棄すると原則として撤回はできません。ただし、「だまされた」「脅された」「重大な思い違いがあった」などの特定の事情がある場合は、例外的に取消しが認められるケースがあります。

注意点:特定の財産だけを選んで放棄することはできない

相続放棄をする場合、預貯金や有価証券など価値のある財産だけを相続し、不要な不動産だけを放棄することはできません。
すべての財産を放棄することになります。
また、自身が放棄すると、次の順位の相続人に相続権が移ります。

全員が放棄した場合、最終的には利害関係者などの申立てにより相続財産清算人が選任され、財産を管理・清算することになります。

将来の納税トラブルを防ぐために今からできる生前対策

相続が発生してから慌てないためには、被相続人が元気なうちから対策を講じておくことが重要です。
将来の相続人が納税資金で困ったり、不動産の処分で悩んだりすることがないよう、計画的に準備を進めることで、円満な相続につながります。
ここでは、代表的な3つの生前対策を紹介します。

生前贈与で将来の相続財産を減らしておく

生前に財産を子どもなどに贈与しておくことで、将来の相続財産そのものを減らし、相続税の負担を軽減する方法です。
年間110万円までの贈与なら贈与税がかからない暦年贈与や、一定額まで贈与税が非課税になる相続時精算課税制度などがあります。
ただし、制度改正によりルールが複雑化しているため、適用には専門家への相談が不可欠です。

生命保険を活用して納税資金を準備する

被相続人を被保険者、相続人を受取人とする生命保険に加入しておくことも有効な納税資金対策です。
死亡保険金は「500万円×法定相続人の数」までが非課税となるため、相続税の課税対象財産を減らす効果があります。
また、保険金は受取人固有の財産として、遺産分割協議を待たずに現金で受け取れるため、スムーズに納税資金を確保できます。

遺言書を作成してスムーズな遺産分割を促す

誰にどの財産を相続させるかを遺言書で明確にしておくことで、相続人間の無用なトラブルを防ぎ、スムーズな遺産分割を促せます。
例えば、不動産は特定の相続人に相続させる代わりに、他の相続人には相当額の現金を渡すといった内容を記すことで、公平な分割がしやすくなります。
法的に有効な遺言書を作成するためには、自筆証書遺言や公正証書遺言などの形式を守る必要があります。

相続 不動産 売れない 資金に関するよくある質問

Q1. 相続税の申告期限までに不動産が売れない場合、どうなりますか?

期限までに売却代金が入らなくても、相続税の申告と納税は原則として必要です。
見込みの売却価格で遺産総額を計算して申告し、納税資金は自己資金やローンで立て替えます。
後に売却価格が確定したら、申告内容を修正する手続きを行います。

Q2. 不動産を売却した場合の税金(譲渡所得税)はいつ払うのですか?

不動産を売却して利益が出た場合、売却した年の翌年の確定申告期間に譲渡所得税を納税します。
相続した不動産の場合、所有期間が5年超であれば税率が低くなります。

また、特定の要件を満たせば、取得費に相続税額を加算できる特例などがあり、結果的に無税になることもあります。

Q3. 買い手が見つからない土地の管理費を抑える方法はありますか?

定期的な草刈りなどをシルバー人材センターや専門業者に依頼することで、管理の手間と費用を抑えられる場合があります。
また、月極駐車場や資材置き場として一時的に貸し出すことで、固定資産税程度の収入を得て維持費を相殺する方法も考えられます。

専門家に相談する際に確認したい3つのポイント

相続問題の解決を専門家に依頼する際は、信頼できるパートナーを選ぶことが重要です。
相談先を選ぶ際には、単に専門知識があるだけでなく、親身に対応してくれるかどうかも見極める必要があります。
ここでは、相談する際に確認しておきたい3つのポイントを挙げます。

納得がいくまで何度でも無料で相談できるか

相続問題は複雑で、一度の説明だけでは完全に理解するのが難しいことも多いです。
疑問や不安がなくなるまで、何度でも無料で相談できる体制が整っているかを確認しましょう。

時間や回数を気にせずに相談できることで、納得のいくまで検討し、最適な解決策を見つけることができます。

費用体系が明確で、事前に見積もりを提示してくれるか

依頼する前に、どのような手続きにどれくらいの費用がかかるのか、明確な料金体系を提示してくれるかは重要なポイントです。
正式な契約の前に、必ず詳細な見積書を提示してもらい、追加費用の発生条件なども含めて丁寧に説明してくれる専門家を選びましょう。
その場で見積もりを提示し、持ち帰って検討できるかどうかも確認します。

契約を急かさず、中立的な立場で提案してくれるか

こちらの状況や意向を十分にヒアリングした上で、複数の選択肢とそれぞれのメリット・デメリットを提示してくれるかを確認しましょう。
一方的に特定の方法を勧めたり、契約を急かしたりするのではなく、あくまで中立的な立場で、依頼者にとって最も良い解決策を一緒に考えてくれる姿勢があるかどうかが、信頼できる専門家を見極める鍵となります。

まとめ

相続した不動産が売れず納税資金が不足する場合、延納や物納、納税資金ローンといった選択肢があります。
売却の工夫として不動産買取や更地化、隣地への打診も有効です。
それでも処分が難しい場合は、相続土地国庫帰属制度や相続放棄も視野に入ります。

問題が複雑化する前に、生前対策を講じることや、専門家へ相談して個別の状況に応じた最適な解決策を見つけることが求められます。

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