
遺留分の割合は、複雑で混乱しやすい部分です。
「半分なの?」「3分の1なの?」「人数で変わるの?」
こうした疑問が次々と出てきます。
ただ、ポイントさえ押さえれば、仕組みはシンプルになります。
この記事では、複雑に見える計算をできるだけやさしく解説していきます。
1. 遺留分の割合は“家族構成”で決まる|最初に押さえるべき大原則

遺留分の割合は、たった2つのルールで決まります。
- 親だけが相続人のとき → 財産の3分の1が遺留分になる
- それ以外のとき(配偶者や子がいる)→ 財産の2分の1が遺留分になる
これが遺留分の“全体の割合”です。
「一人当たりの遺留分」は、各相続人の法定相続分を掛け算して決まります。
※法定相続分=法律で定められた遺産取り分の割合
遺留分の基本を確認したい方はこちらも参考になります

2. 遺留分の計算ステップ|3つの流れをつかむだけで理解が一気に進む

遺留分割合は、次の順番で求めます。
- ①:全体の遺留分割合を決める(2分の1か、3分の1)
- ②:法定相続分の割合を確認する
- ③:一人当たりの遺留分割合を決める(① × ② = 一人当たりの遺留分)
一見難しそうですが、この流れさえ守れば迷いません。
では、それぞれのパターンを具体的に見ていきます。
3. 配偶者と子どもが相続人のパターン|もっとも多いケース

最も一般的な、下記家庭構成の場合を見ていきましょう。
- 配偶者
- 子ども1人
このときの遺留分割合は次のとおりです。↓
① 全体の遺留分:遺産の2分の1
② 法定相続分:配偶者 2分の1、子ども 2分の1
計算するとこうなります。
- 配偶者の遺留分:2分の1 × 2分の1 = 4分の1
- 子ども全体の遺留分:2分の1 × 2分の1 = 4分の1
子どもが複数いれば、この4分の1をさらに人数で割ります。↓
配偶者1人、子ども2人の計算
- 配偶者の遺留分:2分の1 × 2分の1 = 4分の1
- 子ども全体の遺留分:2分の1 × 2分の1 ÷2= 8分の1
これは多くの方がつまずく部分ですが、
「財産全体の半分」を「各相続人に定められた法定相続分で分ける」という考え方を押さえるとスッと理解できます。
4. 子どもだけが相続人のパターン|配偶者がいない場合

- 子どもが3人
「子」が相続人の場合、
遺留分は、全体の財産の2分の1 になります。
↓
子ども3人が相続人の場合
↓
子どもの法定相続分は、人数で均等になるため、次のように決まります。
法定相続分:2分の1 × 3分の1(人数)=6分の1(各人)
↓
1人当たりの遺留分: 2分の1(遺留分) × 6分の1(法定相続分) = 12分の1
例:子ども3人
法定相続分:2分の1 × 3分の1=6分の1(各人)
遺留分:
※人数が増えるだけで、考え方は変わりません。
5. 配偶者と父母が相続人のパターン|子どもがいないとき
子どもがいない場合、父母(直系尊属)が相続人になります。
このときの法定相続分は次のとおり。
- 配偶者:3分の2
- 父母:3分の1(人数で均等)
よく「父母が相続人なら3分の1では?」と誤解されますが、
3分の1になるのは「父母だけが相続人」のときです。
計算すると以下のとおり。
- 配偶者の遺留分:2分の1 × 3分の2 = 3分の1
- 父母の遺留分:2分の1 × 3分の1 = 6分の1
ここは初心者が最も混乱しやすいポイントです。
6. 父母だけが相続人のパターン|例外的に全体が「3分の1」になる

配偶者も子どももいない場合、相続人は父母だけになります。
このときだけ、遺留分の全体割合が 3分の1 になります。
- 父母が1人なら → その人の遺留分が「3分の1」
- 父母が2人なら → 各人の遺留分は「6分の1」
他のパターンと違い、ここだけ“遺留分が少ない”ことが特徴です。
7. 遺留分が「ない」人の確認も大事|兄弟姉妹は対象外

遺留分割合を考えるときに忘れがちな点がこちら。
兄弟姉妹には遺留分がない
兄弟に優遇して遺言を書いても、そもそも遺留分の権利がありません。
ここを誤解して相談に来る方が非常に多いです。
遺留分の対象者を確実に知りたい場合はこちらが参考になります。
(★内部リンク:遺留分とは?法律で保障される ‘最低限の遺産取り分’ をわかりやすく解説)
8. 計算するときに初心者がつまずくポイント3つ

多くの方が混乱するポイントは、この3つです。
■ ① 全体の遺留分が「3分の1」になるのは“親だけ”のとき
子どもや配偶者がいれば、例外なく“2分の1”になります。
■ ② 個別の遺留分は「法定相続分」をかけて計算する
家族構成が変わると、法定相続分も変わります。
■ ③ 生前贈与も計算に含まれることがある
ここは非常につまずきやすい部分で、
遺留分侵害額を計算するときには、生前贈与も含めることがあります。
「遺留分侵害に気づいたときの期限」について知りたい方はこちらも役立ちます。

9. がもう相続相談センターのサポート

遺留分の割合は、数字だけ見ると単純ですが、
実際の家庭にあてはめると複雑になることがほとんどです。
- 生前贈与がある
- 再婚・前妻の子がいる
- 不動産が複数ある
- 会社を経営している
- 遺言が偏っている
こうした状況では、遺留分の割合だけでは判断できなくなることがあります。
がもう相続相談センターでは、次のようなサポートを行っています。
- 遺留分の計算サポート
- 生前贈与を含めた遺産の全体像の整理
- 遺留分を意識した遺言書の作成サポート
- 相続開始後の手続き(戸籍収集・相続登記・預貯金名義変更)
- 他の専門家(税理士・弁護士)が必要な場合の連携
また、当センターでは 相続相談を何度でも・何時間でも無料 で行っています。
「自分の場合の割合が正しいのかわからない」
「兄弟と意見が食い違っていて不安」
そんな段階でも遠慮なくご相談ください。
あなたの状況を整理しながら、遺留分の割合をどう理解すればいいのか、丁寧にお伝えします。

