
介護と相続は、いつもセットで語られます。

「長年みてきた自分が少し多くもらえるのでは?」

「兄弟は何もしていなかったのに…納得いかない」
こんな思いを抱えている人は少なくありません。
実際、介護をしていた子どもが相続で評価される仕組みがあります。
それが“寄与分”です。
ただ、「介護していたから自動で優遇される」とは限りません。
現実には、寄与分が認められず、兄弟間でもめるケースが非常に多いです。
ここからは、「介護と相続」にまつわる寄与分の仕組みを、できるだけやさしく整理していきます。
1. 介護をしていた子どもが評価される“寄与分”とは

寄与分は、家族の中で特にがんばった人を相続で評価する仕組みです。
主に次のような行為が対象になります。
- 付き添い介護
- 食事や入浴の手伝い
- 病院への送迎
- デイサービスの手続き
- 生活費の肩代わり
- 自宅での看取り
どれも毎日の積み重ねが必要なものばかりです。
この負担を背負ってきた人が、相続で“ゼロ扱い”になるのは、現実的にも心理的にも厳しいものがあります。
そこで、「貢献の大きさを考えて、取り分を少し多くする」という調整が寄与分です。
2. 寄与分が認められるには“条件”がある

寄与分は便利なようで、実は簡単には認められません。
次のようなポイントが重視されます。
- 介護が長期間続いていたか
- 介護業者などに依頼した場合と比べて、どれくらい助けになっていたか
- 本人の生活が実際に支えられていたか など
日常の家事レベルでは「特別」と判断されません。
また、たまに手伝った程度では認められにくく、継続性も重要です。
相続で対立しやすいポイント
介護していた本人は「自分は十分やった」と感じていても、他の兄弟から見ると「その程度では寄与分にはならない」という反発が出ることもあります。
3. 寄与分が認められやすい“具体例”

寄与分として評価されやすい介護には、はっきりした特徴があります。
- フルタイムの仕事を調整して介護中心の生活をしていた
- 介護サービスを使わず、ほぼ1人で支えていた
- 毎日通って食事・排せつ・入浴など生活の中心部分を支えていた
- 介護が数年単位で続いていた
- それをしなければ生活が成り立たない状況だった
逆に、次のようなケースは寄与分としては弱いです。
- 週に数回だけ顔を出していた
- 短期間だけ介護した
- 家事を少し手伝っただけ
- 金銭的な負担がほとんどなかった
“生活の根幹を支えたかどうか”
ここが大きな判断材料になります。
4. 寄与分は自動で決まらない。家族で話し合う必要がある

寄与分は、役所が自動で計算してくれるものではありません。
家族の話し合い(遺産分割協議)で決める必要があります。
つまり、介護をしていたからといって、自動的に取り分が増えるわけではありません。
- 兄弟が納得できるのか
- 介護内容をどう説明するか
- どれほどの負担だったかをどのように伝えるか
こうした話し合いがうまくいかないと、寄与分がゼロのまま終わってしまうこともあります。
または、裁判所に申し立てて認めてもらう必要がでてきます。
話す内容が感情に触れるため、兄弟関係が悪化しやすいテーマでもあります。
5. 寄与分を主張するときに役立つ“証拠の残し方”

寄与分を認めてもらうには、介護を裏付ける記録が大きな力になります。
- 介護のメモ(日付・内容)
- 通院の送迎記録
- 買い物や生活費を立て替えたレシート
- 病院やケアマネとのLINE・メール
- 介護で休職や減給があった場合の会社書類
これらは「あとで必要になると思いもしなかった」と言う方が多いです。
ですが、相続の話し合いでは、こうした“積み重ねの証拠”が大きく役立ちます。
6. 介護をしていたのに寄与分が認められないこともある
寄与分は、期待していた結果にならないこともあります。
よくあるケース
- 介護の証拠が残っていない
- 介護保険サービスを利用していて、家族の役割が限定的だった
- 本人の資産状況から、寄与分を付けるほどの余裕がない
寄与分は“法律上の評価”と“家族の感情”が入り混じるため、話し合いが難航しやすいテーマです。
7. 介護と相続のトラブルを避けるためにできる備え
介護と相続のトラブルは、事前の備えで減らせます。
- 介護の様子を軽くメモしておく
- 兄弟とはこまめに共有する
- 本人ともできる範囲で話しておく
- 遺言書を残してもらう(争い予防に効果的)
特に遺言書があるだけで、兄弟間の揉めごとは大幅に減ります。
介護中は毎日が大変ですが、少しずつ準備していくことが、あとで大きく助けになります。

8. がもう相続相談センターのサポート

介護をしてきた子どもの気持ちは、とてもデリケートです。
「がんばったのに評価されないのでは」という不安があるのは当然です。
がもう相続相談センターでは、寄与分の判断や、兄弟との話し合いをどう進めるかなど、相続にまつわる相談を何度でも無料で受け付けています。
- 寄与分になりそうかどうかの整理
- どんな記録を残しておくと有利なのか
- 兄弟との話し合いのポイント
- 遺言書の作成サポート
- 相続の基本的な流れの案内
専門的な内容も、できるだけわかりやすく説明します。
介護の苦労が報われる形で相続を進められるよう、しっかりサポートします。
ひとりで抱え込まず、気軽にご相談ください。

