
「うちは子どもがいないから、相続でもめることはないと思ってました。」
実際にこう話すご夫婦は少なくありません。
しかし現実には、子どもがいない家庭ほど“見えないリスク”を抱えているのです。
なぜなら——
子どもがいない場合、相続人が「夫婦」だけで完結せず、兄弟や甥姪など“親族”が登場してくるからです。
この記事では、子どものいないご夫婦が見落としがちな相続トラブルの原因と、
いまからできる対策について、分かりやすく解説します。

1.「配偶者が全部相続できる」は誤解?
多くの方が勘違いしているのが、「夫婦だけだから、配偶者がすべて相続できる」という思い込みです。
しかし実際には…
つまり、亡くなった方の兄弟姉妹にも相続する権利が発生するのです。
※兄弟がすでに亡くなっている場合は、その子(甥姪)に権利が移ることもあります。

2.兄弟や甥姪が登場すると、なぜトラブルになる?
子どもがいないご夫婦にとって最も見落としがちなのが、
「兄弟」や「甥姪」が相続人として登場してくることの厄介さです。
彼らとの関係性や相続観の“温度差”が、トラブルの火種になります。
▶ ① 相続人なのに「疎遠」な存在
夫婦にとって兄弟や甥姪は、血縁関係はあっても生活的・感情的なつながりが薄いケースが多く、
・「普段どこに住んでいるかも知らない」
・「何十年も会っていない」
ということも珍しくありません。
そんな中で突然、「法定相続人」として財産の権利を主張してくると、
配偶者側は驚きとともに、強いストレスを感じることになります。
▶ ② 揉める主なパターン
💬「私は兄なのだから当然もらえる」
配偶者との感情的な対立が起きやすい典型的なケースです。
長年生活を共にした配偶者よりも、“血縁である自分のほうが正当”という主張がされがちですが、生活の実態が無視されることで、大きな不満や対立が生まれます。
💬「生前に世話になった覚えはない」
被相続人の世話をしてきた配偶者に対して、他の相続人が感謝や配慮を見せない場合に生じるトラブルです。
「何もしていないのに、財産は平等」という状況に、不公平感が膨らみやすくなります。
💬「家や預金の分け方が納得いかない」
不動産(家)や預貯金など、財産の“種類”によって揉めるパターンです。
住み続けたい配偶者と、換金して分けたい相続人との間で意見が対立し、代償金や物納といった複雑な話に発展していきます。
💬「兄弟が複数いて意見が合わない」
兄弟の人数が多くなるほど、考え方の違いも表面化しやすくなります。
一部の兄弟は協力的でも、1人でも反対すれば手続きが止まってしまい、話が一向に進まなくなります。
さらに、その子ども世代(甥・姪)を巻き込むと、対立はさらに深刻になります。
▶ ③ 最悪の場合、配偶者の生活が脅かされる
- 自宅が遺産分割の対象となり「売却せよ」と求められる
- 預金をすべて相続協議で凍結され、生活資金が不足する
- 揉めごとに心身が疲弊し、配偶者の健康にまで悪影響が出る

3.対策のカギは「遺言書」
このようなトラブルを防ぐためには、「遺言書の作成」が最も有効かつ確実な手段です。
▶ なぜ遺言書が必要なのか?
民法では、遺言がない場合に限って「法定相続分」に従います。
つまり、遺言書があれば、兄弟や甥姪には一切相続させないという選択が可能なのです。
例:
「すべての財産を配偶者◯◯に相続させる」
→ このような一文を明記しておけば、他の親族に権利が生じることは基本的にありません。
▶ どんな遺言が望ましい?
遺言の種類 | 特徴 |
自筆証書遺言 | 自分で書けるが形式ミスや無効リスクがある。保管制度の利用がおすすめ。 |
公正証書遺言 | 公証役場で作成。証人が必要だが、最も確実でトラブル防止に最適。 |
子どものいない夫婦の場合は「公正証書遺言」がおすすめです。
公証人が関与することで、文言の不備や曖昧さを避けられ、争いを防げます。
▶ 遺言書の内容で明記すべきポイント
- 財産の配分を明確に(例:「自宅と預金は全額配偶者に相続させる」)
- 兄弟や甥姪への相続排除(例:「その他の親族には一切相続させない」)
- 付言事項で理由を伝える(例:「生前支えてくれた◯◯に感謝の気持ちを込めて…」)
▶ 補足:遺留分に要注意?
なお、兄弟姉妹には遺留分の権利はありません。
つまり、遺言で配偶者だけにすべてを遺すことが可能です(※一部例外を除く)。

4.遺言以外にも使える制度がある
遺言書に加えて、状況に応じて以下の制度も有効です。
制度名 | 内容 | 特徴 |
配偶者居住権 | 住み続ける権利を確保できる | 住まいを守る対策に有効 |
生前贈与 | 財産をあらかじめ渡しておく | トラブル防止に有効だが贈与税に注意 |
任意後見制度 | 判断能力が落ちたときの代理人指定 | 高齢期の安心をサポート |
5.まとめ:子どもがいないご夫婦こそ、早めの準備を
「うちは子どもがいないから、相続で揉めることはない」
その油断が、後々の大きなトラブルを招くかもしれません。
- 兄弟や甥姪が相続人になる
- 関係が薄いからこそ調整が難しくなる
- 最悪、住む家を失うケースも…
そうした事態を防ぐには、
遺言書をはじめとする意思表示の手段を、元気なうちに準備しておくことが大切です。
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