遺産承継業務とは、故人が残した財産(遺産)を法律や遺言に基づき、相続人や指定された受取人に正しく分配する手続きのことを指します。
この業務には、遺産の評価、遺言の有無の確認、相続人の特定、負債の清算、遺産分割協議などが含まれます。
そこでこの記事では相続手続きにおける”遺産承継業務”についてご紹介したいと思います。相続手続きをお考えの方の参考になればと思います。
遺産承継業務の相続手続きについて
遺産承継業務の相続手続きは、大きく以下の6つのステップに分けられます。
① 相続人の確定
② 財産調査
③ 遺産分割協議
④ 名義変更手続き
⑤ 相続税申告
⑥ その他の手続き
ではそれぞれの相続手続きについて詳しくみていくことにしましょう。
① 相続人の確定
1. 調査について
– 戸籍謄本・除籍謄本
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本を収集することで、法定相続人を確定することができます。
– 遺言書
遺言書に相続人が指定されている場合は、遺言書に基づき相続人を確定します。
– 家系図
被相続人の親族関係を整理することで、相続人を漏れなく調査することができます。
2. 法定相続人について
法定相続人は、民法で定められた相続順位に基づき決定されます。
1 位 配偶者
2 位 子
3 位 直系尊属
4 位 兄弟姉妹
5 位 祖父母
6 位 叔父・叔母
7 位 従兄弟姉妹
3. 特別寄与料について
被相続人の財産の増加に特別に貢献した相続人は、寄与分として通常の相続分より多く遺産を相続することができる場合があります。
4. 遺産分割協議について
相続人全員で遺産の分割方法について話し合い、協議書を作成します。遺産分割協議書には、誰がどの財産を相続するか、相続税の負担割合などを記載するようになります。
② 財産調査
遺産承継業務において、財産調査は非常に重要なステップになります。
– 財産調査の目的
財産目的の調査は主に遺産の総額を把握すること、そして遺産分割協議を行うための資料を集めること、相続税の申告を行うための資料を集めることを目的としています。
– 財産調査の手順
<預貯金>
被相続人の通帳やキャッシュカードを調査し、口座の残高を確認します。定期預金や投資信託などの金融商品も調査することになります。
<不動産>
被相続人の名義の登記簿謄本を取得し、不動産の所有状況を確認します。
<株式>
被相続人の名義の株券や証券口座を調査し、株式の所有状況を確認します。
<貴金属>
被相続人の持ち物の中から、貴金属を探します。
<その他>
自動車、船舶、骨董品、絵画などの財産についても調査します。
負債についても調査することになります。
③ 遺産分割協議
遺産分割協議は、相続人全員で遺産の分割方法について話し合い、協議書を作成する手続きです。
遺産分割協議は、相続人全員の合意が必要で、一部の相続人が協議に参加していない場合、遺産分割協議は無効となります。ただ遺産分割協議の内容は、後から変更することができます。
- 遺産分割協議の内容について
遺産分割協議書には主に、
・遺産の分割方法
・各相続人の相続分
・遺産分割協議の日付
・相続人全員の署名・捺印
上記の内容を記載することになります。
④ 名義変更手続き
相続手続きにおける遺産承継業務内の名義変更手続きは、相続した財産の名義を相続人名義に変更する手続きになります。
必要書類は、財産の種類によって異なり、それぞれの手続きには時間がかかる場合がありますので注意しましょう。
- 名義変更手続きが必要な財産
・不動産
・預貯金
・株式
・自動車
・船舶
・骨董品
・絵画
- 名義変更手続きの流れ
名義変更手続きは以下の必要書類を収集することから始まります。
・遺産分割協議書
・戸籍謄本
・印鑑証明書
・財産の名義変更に必要な書類
- 各窓口に手続きを行う
・不動産:法務局
・預貯金:金融機関
・株式:証券会社
・自動車:陸運局
・船舶:運輸局
各窓口で手続きを行うことになります。
⑤ 相続税申告
相続税申告は、相続人が被相続人から相続した財産の価額に基づき、相続税を計算し、申告する手続きです。
相続税申告は、複雑な手続きが必要となり、もし、申告期限を過ぎると加算税が課される場合がありますので注意が必要です。
- 相続税申告が必要な場合
相続した財産の価額が基礎控除を超える場合、相続税申告が必要となります。基礎控除の計算式は以下となります。
3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数
- 相続税申告の手順について
相続税申告は以下の必要書類を収集する必要があります。
・遺産分割協議書
・戸籍謄本
・印鑑証明書
・財産評価証明書
・各種控除証明書
・相続税申告書を作成する
※国税庁のホームページから相続税申告書をダウンロードできます。
そして必要事項を記入し、添付書類を揃えて税務署に提出することになります。提出は相続開始から10ヶ月以内に被相続人の住所地の税務署に提出する必要がありますので注意するようにしましょう。
⑥ その他の手続き
相続手続きにおける遺産承継業務には、上記で説明した相続人の確定、財産調査、遺産分割協議、名義変更手続き、相続税申告以外にも、状況に応じて様々な手続きが必要となります。
- 主なその他の手続き
[各種手続きの期限確認]
・相続税申告:相続開始から10ヶ月以内
・相続登記:相続開始から4ヶ月以内
・遺言書検認:相続開始から3ヶ月以内
[各種権利・義務の承継]
・賃貸借契約
・雇用契約
・債務
[各種手続きの代行]
・銀行口座解約
・クレジットカード解約
・携帯電話解約
・年金手続き
・健康保険手続き
[その他]
・遺品整理
・家財道具の処分
・不動産売却
・相続放棄
上記のように相続手続きにおける遺産承継業務には様々な手続きがあります。これらの手続きは、いづれも遺産承継をスムーズに進めるために必要な手続きとなります。
専門家に任せることで負担軽減することができます
相続手続きは、その複雑さと要する時間、労力のため、多くの人にとって大きな負担となります。このプロセスを専門家に依頼することで、数多くのメリットが得られます。
主なメリットとしては、
・時間と労力の大幅な削減
・ミスやトラブルの予防
・専門的なアドバイスの提供
・精神的負担の軽減
などが挙げられます。専門家には、書類作成や手続きの代行など、相続に関わる多岐にわたる業務を任せることができます。
そして専門家を選ぶ際には、その経験と実績、費用、そして信頼できるかどうかが重要なポイントとなります。
経験豊富で実績のある専門家を選ぶことで、相続手続きをスムーズに進めることができます。また、費用については、専門家によって異なるため、複数の見積もりを比較することが推奨されます。
信頼できる関係を築くことができる専門家を選ぶことは、相続手続きを円滑に進める上で非常に重要なのです。
具体的には、
[司法書士]
・不動産の名義変更
・遺言書の作成
・相続登記
[弁護士]
・遺産分割協議書の作成
・相続に関する紛争解決
[税理士]
・相続税申告
上記を依頼することが一般的になります。
専門家に相続手続きを依頼することで、専門知識を活用し、手続きの正確性を高めるとともに、相続プロセスのストレスを大幅に軽減することができます。
そして専門家を選択する際は、専門家の経験、費用、そして信頼性を慎重に評価することが重要です。
まとめ
遺産承継業務は、相続人の確定から始まり、財産調査、遺産分割協議、名義変更、相続税申告など、様々な手続きが必要です。これらの手続きは複雑なので、時間と労力をかけたくない方には専門家への依頼がおすすめです!
専門家は、相続手続きに関する知識と経験が豊富で、ミスやトラブルを防ぐことができます。また、専門家のアドバイスを受けることで、相続税対策や遺産分割協議など、様々な場面で役立ちます。
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